2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520090
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Research Institution | Sanyo Gakuen University |
Principal Investigator |
尾崎 誠 山陽学園大学, 総合人間学部, 教授 (00259574)
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Keywords | 種の論理の弁証法 / 永遠と歴史 / 同一性と非同一性 / 否定的媒介 / 過去的不滅性 / 政治と宗教 / 別の元初 / 最後の神 |
Research Abstract |
本年度は国際学会において田辺哲学の類・種・個の三極論理から永遠と歴史との相互否定的な行為的媒介構造とホワイトヘッドの非対称的不可逆的時間構造とを比較し、英文で発表し、外国学術誌にも発表した。田辺の「種の論理」とヘーゲルの「同一性と非同一性との同一性」の弁証法を比較し、その歴史哲学において、田辺哲学は瞬間的進出即還帰、始元即終末をいうものの、点的現在中心史観に限局され、ヘーゲルの自己否定を通じて原初へ還帰する運動、ハイデッガーの最初と別の元初、ホワイトヘッドの持続的時間等との関連において、幅と持続性、歴史の起源と目的、文化価値の進歩と衰退、等との方向性において更に脱構築すべきことが導かれる。またホワイトヘッドの現実性の生成と消滅との交互否定転換構造、過去の不滅性の作用は弁証法的運動を示し、西田・田辺、ヘーゲル、ホワイトヘッドの綜合的比較の予備的考察をした。特にヘーゲルではその法哲学に見られるように、歴史的現実に対応する論理が追及され、田辺でも世界の現実的構造を解明すべく、世界政治と世界宗教との新たな関係性の構築が求められ、その新しい「種の論理」の立場から提唱された世界的次元での政治と宗教との否定媒介的関係は今日の世界情勢にも妥当性を高めていることを最近のギリシャや日本における史的現実の問題に対するアプローチとしてもその解明を試みた。他方、田辺はハイデッガーとも緊密な関係にありながらも、当時未公開であったハイデッガーの重要文献における「別の元初」や「最後の神」に関しては、田辺自身は言及できなかったが、そのキリスト教的終末論的背景と同時に、他方では儒教的な下降・上昇史観、仏教的な末法史観とも隠れた構造的類比性のあることを比較の地平から聞明を試み、英文で外国図書にも発表した。更にプラトンの不文の秘密学説等に関連してフーコーやガダマー等の哲学的解釈学の方法論についても考察した。
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