2010 Fiscal Year Annual Research Report
ソフォニズバ・アングィッソーラ研究:一六世紀イタリア女性肖像画の諸問題
Project/Area Number |
21520102
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
喜多村 明里 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (90294264)
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Keywords | 美術史 / 肖像画 / 女性 / 16世紀 / アングィッソーラ |
Research Abstract |
1)ソフォニズバ・アングィッソーラに関し、9月にイタリア及びスペインへ短期海外渡航し、作例に関する実見調査と文献閲覧・資料収集を進めた。前年度に進めた作例情報の収集・整理(PERLINGIERI,Ilya Sandra, Sofonisba Anguissola. The First Great Woman Artist of the Renaissance, New York, Rizzoli,1992と国際展図録AA.VV.(e Mina Gregori),Sofonisba Anguissola e le sue sorelle, Centro culturale "Citta di Cremona," Cremona, Italy, Sept.17-Dec.11,1994;Leonardo arte, Milano,1994その他を参照しつつ、作者帰属の疑わしいものも含め約40点)について、基準作とみなすべき重要作例について研究を進めた。 2)15-16世紀の肖像画史とソフォニズバに関する記述文献として、最も重要なG・ヴァザーリの記述(La vita di Properzia de Rossi他、1550年版及び1568年版における言及部分)を訳出のうえ、引用に関する出典ついて訳注を付した。さらに、記述の構成や批評記述の構造とその特徴に関して考察を進めた。女性美術家が描いた肖像画に対する同時代の批評と賞賛は、主題となる像主の容姿や長所あるいは「徳」を賞賛する言辞と重なりあう傾向を強く持っていたことを論証・解明する論文の執筆を開始している。 3)ソフォニズバと比較対照すべき例として、女性彫刻家プロペルツィア・デ・ロッシ、ラヴィニア・フォンターナなど16世紀の女性美術家に関する調査を進めた。
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