2012 Fiscal Year Annual Research Report
南インド、ケーララ地方に現存するヒンドゥー教壁画の技法的・様式的研究
Project/Area Number |
21520106
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
定金 計次 京都市立芸術大学, 美術学部, 教授 (40135497)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 美術史 / 南インド / ヒンドゥー教 / 壁画 |
Research Abstract |
平成24年度は、既に調査を遂行した壁画等に関して補足的調査を実施すると共に、ケーララ地方壁画の技法と様式の成立に関与したと思われる他地方の壁画について、9月に調査を実施した。そして当年度が研究の最終年度であるため、過去3年に行った調査研究も含めて、収集した資料を整理分析し、研究結果を纏めた。結論は以下の通りである。 ケーララ地方特有のヒンドゥー教壁画は、12世紀頃の早期の作例が確認されている。それ以前の現存するヒンドゥー教美術の状況から、この地域は北及び東の隣接地域に比べて、規模の大きなヒンドゥー教寺院が建立され美術が展開するのが遅かった。ケーララ地方に現存する初期ヒンドゥー教壁画は、カルナータカ地方の影響を受けたと考えられる。技法・様式共に、北と東の隣接地域の中世壁画と大きくは違わない。しかし寺院建立が活発化し、壁画制作が盛んになった15世紀には、独自の技法・様式が形成されることとなった。それには、幾つかの要因が考えられる。一つは、現在も周辺地方に比して降雨量が多く材木が豊かで、固有の木造ヒンドゥー教寺院が発達すると同時に、独自の木彫が展開したことが挙げられる。またヨーロッパ人が新たに開拓された海路により多く渡来し、ヨーロッパ絵画の影響も及んだことも要因に数えられる。16世紀の壁画が多く残り、技法と様式が確立したことが判る。暈取りが施され大胆に誇張された顔貌描写と過度に豪奢な装身具等が特筆されると共に、画面の枠飾りに使われる一種の連珠文が密集する人物や動物の輪郭にも適応されるという、ある面不可解な表現が目立った特徴となっている。 17世紀以降は、壁画様式が単純化する傾向を見せるが、同時にヨーロッパ絵画の更に強い影響を示すようになる。連珠文により輪郭を飾ることが少なくなる動きがあり、北部ではカルナータカの、南部ではタミル・ナードゥの様式と共通の特徴を見せるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)