2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520107
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
関村 誠 広島市立大学, 国際学部, 教授 (20269583)
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Keywords | 美学 / 哲学 / 感覚論 |
Research Abstract |
プラトンにおけるアイステーシスの位置づけとその意味とを対話篇のテクストを読解しつつ明確化するために、昨年考察した「尺度の概念をより発展的に「測定術」や「絵画術」との関連で解釈を進め、創造行為の問題がプラトンにおいて、人間の感覚能力との関係でいかに扱われているかを明らかにするよう努めた。また、「デーミウールゴス」などの概念と、それらをめぐって、感覚の領域に関わる機能がいかに働いてプラトンの思想構造に組み込まれているかについて考察した。プラトン思想の中期から後期にかけての『パイドン』以後の展開においても感性の機能に対する問題意識が形而上学的思索の発展に通底していることを明確化することを目的とし、とりわけ、『国家』におけるスキアグラフィアの位置づけに関して、また、同対話編の洞窟の比喩におけるタウマトポイオイのもつ意味に関して、後期対話篇である『ソフィスト』などにおける現れを作り出す行為、あるいは絵画技術について批判的に主題化した議論との比較検討を通じて考察した。 古代哲学関係の文献の豊富なベルギーのブリュッセル自由大学の古代哲学研究所において資料収集をおこない、古代思想に詳しいボードアン・ドシャルヌー教授、ファビアン・ノビリオ研究員、およびシルヴァン・ドラコミネット講師のもとで批判を受けた上で議論し、さらには、プラトン思想と絵画技術との関連性の問題に関しては、3月にパリで行なわれたハーヴァード大学研究員ヨアンナ・パパドプル氏が企画する研究会で発表し同氏や他の出席者からの批判と助言を受けた。 プラトンにおけるアイステーシスの研究により、感性の理論がイデア論を孕んだ哲学思想とが表裏一体をなしていることをテキストにそって、主要概念を手がかりとして示すことができた。
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Research Products
(2 results)