2010 Fiscal Year Annual Research Report
ジョルジュ・ド・トレッサンにみる20世紀初頭の日本美術研究の諸相
Project/Area Number |
21520111
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Research Institution | Sagami Women's University |
Principal Investigator |
南 明日香 相模女子大学, 学芸学部, 教授 (20329212)
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Keywords | トレッサン / 日本美術研究 / フランス / 20世紀初頭 / やまと絵 / 鐔 / コレクター / 極東美術 |
Research Abstract |
研究の目的はジョルジュ・ド・トレッサンを中心に、20世紀初頭にどのように日本の古美術や工芸について研究がなされていたのか、実態を明らかにすること。トレッサン自身の論考について、成立の過程と同時代的意義を明らかにすること、この2点である。 22年度は引き続き遺品資料の調査を行い、加えて交流のあった日本古美術・工芸研究家との情報交換を書簡やコレクションなどに基づき明らかにした。そのためにエトルピの遺族やパリの他ロンドンボルドー、リヨン、ワシントンD.C.などに残るコレクション及びコレクターについて調査した。国内では刀剣博物館の資料室、東京芸術大学、早稲田大学などで調査した。成果は「トレッサン宛書簡にみる20世紀初頭の日本古美術研究ネットワーク」にまとめた。東北大学付属図書館では、ミュンスターベルク旧蔵書の調査を通して、同時代の極東美術の欧米言語による文献や、日本の美術研究者との問題意識の共通性などが明らかになった。成果はジャポニスム学会例会(7月9日)に発表。これらによって、当時の情報網の様相を鮮明にすることが出来た。 トレッサン個人の論考ではやまと絵評価について論じた。1900年代のフランスでは知られずトレッサンの方でも1905年頃は評価の低かったやまと絵を、1908年には一変して日本の代表的な絵画ジャンルの一つとして詳述する。その過程での日本絵画のフランスでの評価の実態や、研究のための情報源、日本側での海外向け日本古美術紹介の影響関係を調べた。これは「ジョルジュ・ド・トレッサンの日本絵画史-やまと絵評価をめぐって」にまとめた。 調査の過程で発見された資料は論文《Un precurseur de l'histoire de l'art japonais en France:Georges de Tressan》(書誌付、Arts Asiatiques誌2011年6月)に記載。
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