2012 Fiscal Year Annual Research Report
日本近世における視覚文化の美的構造―美的性質の類型論を手がかりに
Project/Area Number |
21520113
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
岸 文和 同志社大学, 文学部, 教授 (30177810)
|
Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 美的性質 / 感性的質 / 視覚文化 / 面白し / 雅俗二元性 |
Research Abstract |
本研究は、視覚文化について語る美的用語を調査することによって、日本近世における美的世界の全体構造を把握することを課題とする。本年度は、口頭発表を3件行い、2編の著書(共著)と2編の論文、そして科研報告書を執筆した。口頭発表は“The Socio-Cultural Identity of the Ukiyo-e Artist”、「日本近世の花鳥画:雅俗二元的な世界」、「浮世絵の視覚文化論」で、すべて、近世の視覚文化の雅俗二元的構造の具体相を明らかにするものである。著書(共著)は「京都表象のメディア史:名所図絵から写真へ」(『大学的京都案内』所収)と「手鎖考:浮世絵師の罪と罰」(『否定と肯定の文脈』所収)で、前者は、近世から近代にかけて、庶民レベルで流通していた京都表象のメディア的特性を明らかにし、後者は、俗的な視覚文化の担い手であった浮世絵師と版元の社会=文化的な地位を、罪と罰の観点から考察したものである。論文は「広告図像の修辞学:歌麿筆〈美人画〉を手がかりに」と「北斎の父:御鏡師・中嶋伊勢の系譜」で、前者は、歌麿の美人画において、「見立て」という江戸文化を特徴づける「知の技法」がどのようなメカニズムで機能しているかを明らかにし、後者は浮世絵師・北斎の父(実父/養父)が幕府の御用達職人であったことを実証し、北斎の浮世絵に見られる雅への志向を、北斎の出自を視野に入れて考察する必要性を主張したものである。なお、科研報告書("The View of the Mountains Was "Amusing": Surveying the Application of the Japanese Aesthetic Term Omoshiroshi to Nature")では、日本的な美的世界を代表する美的性質のひとつとして、「面白し」という反応的/情緒的性質を論じることを試みた。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(7 results)