2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520117
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Research Institution | 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所 |
Principal Investigator |
早川 泰弘 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存修復科学センター, 分析科学研究室長 (20290869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城野 誠治 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 企画情報部, 専門職員 (70470028)
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Keywords | 蛍光X線分析 / 日本画 / 彩色 / 顔料 |
Research Abstract |
本研究課題の最終年次として、できる限り多くの絵画を調査して日本絵画材料、特に白色顔料の変遷について考察し、まとめを行った。 (1)初期洋風画の調査 桃山期から江戸初期にかけて描かれた初期洋風画は、これまで彩色材料調査が行われたことはほとんどなかったが、今年度は重要文化財泰西王侯騎馬図屏風(サントリー美術館・神戸市立博物館所蔵)、重要文化財洋人奏楽図屏風(永青文庫美術館所蔵)、万国絵図屏風(宮内庁三の丸尚蔵館所蔵)といった代表作を調査することができた。その結果、これらの絵画に使われている白色顔料は鉛白が中心であるが、泰西王侯騎馬図屏風と万国絵図屏風では作品の一部に胡粉が使われていることが見出された。 (2)平安・鎌倉期絵巻物の調査 平安期を代表する国宝信貴山縁起絵巻(朝護孫子寺所蔵、奈良国立博物館寄託)と、鎌倉期を代表する春日権現験記絵巻(宮内庁三の丸尚蔵館所蔵)について蛍光エックス線分析による彩色材料調査を実施した。信貴山縁起絵巻については、これまでに調査済みの国宝源氏物語絵巻(徳川美術館、五島美術館所蔵)や国宝伴大納言絵巻(出光美術館所蔵)といった平安期の代表的絵巻との類似性や相違が明らかになることが期待される。また、春日権現験記絵巻については、これまでに鎌倉期絵画に関する科学調査例が少ないため、その代表的データとなることが期待できる。
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