2009 Fiscal Year Annual Research Report
ハーネスとパラドクス性-科学と芸術をむすぶ自然観の研究
Project/Area Number |
21520133
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
秋庭 史典 Nagoya University, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (80252401)
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Keywords | 科学 / 芸術 / 自然計算 / 間接的相互作用 / ハーネス / 情報技術 / 美学 / ライプニッツ |
Research Abstract |
科学と芸術の接点となる自然観の研究1ハーネス:今年度の研究は、自然科学研究者が現在求めている自然観を明示的にすることから始まった。それにより、彼らの言う自然計算と間接的相互作用、さらにはそれを基にした生物多様性の維持とハーネスの概念が、美学の更新とアート観の更新を迫るものであることを明らかにした。その成果を、京都工芸繊維大学で開催されたシンポジウム「アートとテクノロジーの接点」の基調講演「アートとテクノロジー、自然のハーネスから見る」にて発表した(発表1)。2自然化された目的論と美学:これに付随し、科学研究が芸術に関わる現場として、情報技術を用いた芸術研究・作品調査を取り上げ、そこにある美学を論じた(論文1,2)。それにより、作品調査の背後にある科学的美学と、自然化された目的論としての進化論との関係を明らかにした(特に論文2)。3ライプニッツ:1で論じた間接的相互作用の考えは、計算とは何か、についての原理的考察を要請する。そこで自然科学研究者は、ライプニッツ(およびその影響を受けたノヴァーリス)とそこでのモナド論に最注目しているが、この点については、引き続き、フランス現代思想との関わりも含めて研究する。4海外調査拠点調査を行った。自然計算の基となる計算機科学・離散数学と芸術とを類比的に考え独自の展示を行う「アリトメウム美術館」(ボン)、人文自然科学にまたがるライプニッツの重要性を再検証したライプツィヒ大学600年記念展「世界の照明」(ライプツィヒ)、数学の考えを用いた芸術作品を多数展示した「mathemachen」(ベルリン)などを訪問し、資料収集を行った。これらの研究のうち、特に1の基調講演には、シンポジウムに参加した工学研究者・認知科学研究者のみならず、美術研究者・アーティストからも大きな関心が寄せられた。
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