2011 Fiscal Year Annual Research Report
映画を媒介にした消費と教育の史的関係-戦前期から占領期へ
Project/Area Number |
21520134
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤木 秀朗 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (90311711)
|
Keywords | 映画 / 近代日本 / 社会教育 / メディア政策 / 観客 |
Research Abstract |
本研究プロジェクトは、(1)行政、(2)産業、(3)ジャーナリズム(3)興行と消費の場の観点から映画観客を考察することを大きなねらいとしている。当年度は、おもに(3)に関する成果として、日本研究の分野で国際的に権威のある、イギリスの査読付き学術雑誌Japan Forumに、"Movie advertisements and the fromation of a new visual environment in interwar Japan"という論文が掲載された。その内容は、映画の製作とプロモーションの関係と、広告産業とデザインの発達に焦点を当てながら、1920年代から30年代にかけての消費文化の興隆の中で映画広告がどのような広がりを見せ、それが戦間期の歴史状況にあってどのような意味をもったのかを論述したものである。この他、(1)に関して、1920年代から40年代前半にかけて流通していた教育関係の文献を分析しながら、そこで広く論じられていた「民衆」という概念と映画観客の関係を明らかにした論考を、オックスフォード大学出版会から2012年度出版予定のOxfoed Handbook of Japanese Cinemaに寄稿した。さらに、戦後に論じられることが多くなった「大衆」と映画観客との関連について、批評家、研究者、ジャーナリストの言説を調査・分析したが、それについて7月に京都の国際日本文か研究センターにて口頭発表を行い、それを基に執筆した論考を青弓社から出版予定の『「戦後」日本映画論』に寄稿した。2012年度にハーバード大学アジアセンターから刊行予定の物Making Personas: Transnational Film Stardom in Modern Japanでも本プロジェクトの成果を反映させている。
|
Research Products
(4 results)