2009 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける語り物音楽の伝承並びに声の技法に関する比較分析研究
Project/Area Number |
21520137
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
垣内 幸夫 Kyoto University of Education, 教育学部, 教授 (50117420)
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Keywords | 芸術諸学 / 東アジア / 語り物音楽 / 声の技法 |
Research Abstract |
平成21年8月18日・19日に韓国全羅北道立國樂院において、パンソリの伝承者である金美貞教授に対してインタビューを行い、芸の伝承に関する芸談並びに声の技法についての実演を映像資料として記録した。その際に全羅北道立國樂院における金美貞教授のパンソリクラスに4日間参加させて頂き、パンソリの基本である長短(チャンダン)を受講生とともに学習する機会を得た。今後展開するパンソリ研究にとって長短の理解は最重要課題であり、金教授の実演を伴った長短の解説を映像に記録できたことは初年度の大きな成果となった。金美貞教授のパンソリクラスについては、平成22年1月9日に建国大学校(韓国・ソウル市)で「全羅北道立国楽院・金美貞教授のパンソリクラスを体験して」と題する学会発表を行って本研究の成果を公表した。発表内容は当日配られた「論文集」に収められている。また金教授は名唱金演洙が創始した東超制の第3世代伝承者であり、金演洙とその弟子の人間国宝の名唱呉貞淑(第2世代伝承者)の残したパンソリ5大演目のCD全集を入手できたので音源の比較分析を進行中である。 平成22年1月29日~2.月1日の間、中国蘇州市において評弾に関する歴史的音源資料・映像資料並びに文献資料を収集した。また滞在中に蘇州評弾学校を訪れ、評弾の伝承の実態を調査した。幸いにも同校の特別講師で評弾演奏家の陶謀炯氏にインタビューする機会を得、個人の演奏様式の集大成としての調について実演を交えた解説を映像に記録することができた。蘇州で入手した歴史的音源集である「弾詞流派唱腔大典」(CD26枚)は、評弾の伝承と声の技法を探求するための貴重な資料であり、現在音源の比較分析を進めている。
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