2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520139
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
石川 達夫 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (00212845)
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Keywords | チェコ / バロック / 対抗宗教改革 |
Research Abstract |
チェコ・バロック研究の3年目は、引き続き管理職に就いていたために、残念ながら思うように研究計画を進められなかった。それでも、チェコ出張、インターネット書店、国際相互貸借によって、新刊と古書で貴重なチェコ・バロック関係文献を収集することができた。文献に関しては、主なものはほぼすべて収集し終えた また、チェコに出張した際、今回は特にモラヴィア地方の古都オロモウツを調査したが、ここには「オロモウツ・バロック」と呼ばれる、目を見張るような独自で豊かな文化遺産があることを、非常な驚きと共に発見した。ちょうど現在、当地の博物館がオロモウツ・バロックに関する数巻の大部の書籍を刊行中であることを知ったのも収穫であった(この本は書籍市場に通常のルートでは流通していないので、一般には知られていない)。教会、宮殿、公園、彫刻、絵画など、オロモウツ・バロックの文化遺産をデジタルカメラで多数撮影することができたことも、大きな収穫であった。このように、実地調査に関しては、かなりの成果を収めることができた。 他方、文献の解読と研究書の執筆は、時間の不足から思うように捗らなかった。それでも、チェコ・バロックを、1.迷宮、2.楕円 3.歪みという、3つの表象的モチーフから捉えて分析する方法を考え出し、それによってチェコ・バロックの全体像に迫る上でかなり有効な視点を確立することができた。研究書も、これら3つの表象的モチーフをそれぞれ1つの部に当てる3部構成とし、第1部「迷宮」については、ある程度原稿を書き進めた。科研は今年度で終了してしまうが、来年度は管理職から解放されるので、是非研究書を仕上げたい。
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