2011 Fiscal Year Annual Research Report
「組踊の系譜―朝薫の五番から沖縄芝居、そして『人類館』へ」
Project/Area Number |
21520147
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
与那覇 晶子 琉球大学, 大学教育センター, 非常勤講師 (30412860)
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Keywords | 組踊の系譜 / 朝薫五番 / 沖縄芝居 / 新作組踊 / 人類館 / 近現代沖縄演劇 / 沖縄語(ウチナーグチ) / 文化的アイデンティティー |
Research Abstract |
研究課題総仕上げの本年、「組踊の系譜」に関して、現代沖縄の舞台芸術の現状まで網羅した視点で対象化できたことは、この研究の成果だと言えよう。2011年6月に開催された日本演劇学会大会で「劇場に見る"組踊"の系譜」について研究発表した。朝薫が組踊五番を舞台化した1719年から現在に至る琉球・沖縄の舞台・劇場の検証は、現在の「国立劇場おきなわ」の額縁舞台と、併用される四間四方の張り出し舞台の形態への問題提起になった。組踊がどのように沖縄芝居に継承され、またどのように現代沖縄演劇にまで及んでいるのか、それを共通認識として社会に開示するために、劇場の問題提起も含め、二回沖縄県立博物館・美術館講堂でシンポジウムを開催した。一回目の2012年2月8日は、沖縄藝能史研究会会長當間一郎氏が「組踊の系譜-組踊五番から沖縄芝居へ」の題で基調講演をし、沖縄三線音楽研究者新城亘氏、沖縄芝居実験劇場代表玉城盛義氏、沖縄芝居役者伊良波さゆき氏が組踊や沖縄芝居について報告をした。3月11日に開催した二回目のシンポジウム「劇場と社会」は日本演劇学会会長天野文雄氏による「能が演じられた場所」を基調講演に、国立劇場おきなわ芸術監督幸喜良秀氏、平成組踊塾代表高江洲義寛氏、沖縄国際大学教授狩俣恵一氏、京都産業大学教授鈴木雅恵氏をパネリストに、また沖縄県立芸術大学教授板谷徹氏をコメンテーターに迎え、5時間の熱い研究発表と討議になった。2010年に組踊が世界無形文化遺産に登録されて以来組踊への関心が深まっているが、同時に昨今の新作組踊の舞台上演と御冠船舞台の復元を含め「組踊とは何か」の本質的な問いとその検証が始まっている。二回のシンポジウムはその点でも時機を得た問題提起になった。ところで、大城立裕氏の新作組踊20作品の上梓とその10作品の上演は沖縄の舞台芸術にRevitalizationをもたらしている。氏の新作組踊も課題「組踊の系譜」の中に位置づけ二回国際学会で研究発表した。
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