2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520154
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
渋谷 哲也 東京国際大学, 人間社会学部, 准教授 (90438789)
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Keywords | ドイツ映画 / ドイツ文学 |
Research Abstract |
昨年度より、ドイツにおける移民映画の変化を概観しつつ、様式および内容的に重要と思われる作品を取り上げて考察を深めた。とりわけファスビンダー監督作『出稼ぎ野郎』と『不安は魂を食いつくす』、トーマス・アルスランの3部作『兄弟』『売人』『晴れた日』の移民表象の特徴を比較しつつ、それぞれの映画作家のスタイルの相違を美的および社会批判的観点から考察した。その成果を日本ドイツ学会のフォーラムにおいて口頭発表した。外国人や移民を描く際に多用される紋切り型表現について、それぞれの映画作家が独自の異化効果的な手法を用いて月並みな表現を回避し、受け手の意識的な受容を促すことを明らかにした。また年度の後半は、アテネ・フランセ文化センターにてアルスラン監督の3部作に日本語字幕を付した上映を行い、日本では無名の作家アルスランの全体像を紹介した。その機会に講演を行い、トルコ系移民を扱った3部作のみならず、近年の作品においてもアルスランの文化的アイデンティティを固定化しない製作態度が一貫していることを指摘した。今回は監督を招待し討論を行うことは叶わなかったが、その間のドイツ滞在の折にインタヴューを行った。監督を招いての上映および討論は2011年度に延期し、2012年3月に上映会と監督との討論を行った。
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Research Products
(2 results)