2011 Fiscal Year Annual Research Report
現代ピアノおよび歴史的ピアノにおける操作性の定量評価と設計
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21520157
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Research Institution | Kunitachi College of Music |
Principal Investigator |
森 太郎 国立音楽大学, 音楽学部, 准教授 (40335782)
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Keywords | ピアノ / アクション / 動力学モデル / 高速度カメラ / 計算機シミュレーション |
Research Abstract |
・アクション動作測定システムの評価 動作システムを従来の方法(高速度カメラで鍵盤を撮影して追尾する方法,およびフォトセンサの前をハンマーシャンクが横切る時間を測定する方法)との比較を行い,民生用の高速度カメラで高品位な測定ができることを確認した。あわせて,ダイヤルゲージによる直接測定も行い,測定システムの誤差評価を行った。 ・アクション動作測定システムによる動力学計算機シミュレーションの比較 アクションの動作の計算機シミュレーションを行い,実際のアクションの動きと計算機シミュレーションが一致することを確認した。前年度までに計算機シミュレーションと以前提案した理論式が一致することは確認しているため,実際の動作が理論式と一致することが確認できた。また,シミュレーションにはアクションの具体的な形状を取り入れた。これにより,アクションの動作が定量的に予想可能になった。 ・アクションの改良方法の考察 アクションの部品に新たに質量を付加する方法によって,JIS規格と矛盾することなく回転運動を制御することを確認した。また,質量追加の効果について,実験と計算機シミュレーションによって評価・考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに,高速度カメラを用いた拡張システムを構築しアクションの各部分の追尾実験を行った。また、動力学モデルを用いた計算機シミュレーションとの比較を行い,実験との比較を行った。一方,アクションの部品に質量を付加することにより,JIS規格等を逸脱することなくアクションの動特性が制御可能であることを確認した。以上のことから,おおむね予定通りの年次進行で順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた動力学モデルによって,本年度は実際のピアノでの改良実験を行う。これはモデルの逆動力学解析を行うことに相当する。アップライトのアクションを適切に設計・制御することにより,演奏者の望む通りのタッチが得られることが期待できる。 最終年度にあたる本年は,これまでの結果からピアノアクション設計の合理的な指針を示す。 一方,電子キーボードのアクションは、かならずしも演奏家の評価が高くない。そのため機械部品を用いた電子キーボードで理想的な動特性を持つ形状を設計する。 また,最終年度にあたり,これらの成果を論文によって発表する。
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