2010 Fiscal Year Annual Research Report
断簡・逸文・紙背文書の蒐集による「明月記」原本の復元的研究
Project/Area Number |
21520183
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾上 陽介 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (00242157)
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Keywords | 藤原定家 / 明月記 / 売立目録 / 古記録 |
Research Abstract |
本年度は、まず昨年度に引き続き『明月記』原本伝来状況の把握のため、阪急学園池田文庫および奈良国立博物館所蔵の売立目録類を集中的に調査した。具体的には、両機関に延べ18日間出張して悉皆調査を進め、そこに収載されている『明月記』原本断簡や定家書状のほか、同じく定家の書写した古記録(『兵範記』など)・儀式次第、さらには『明月記』の紙背文書であった可能性のある同時代人の消息類などを電子コピーや写真撮影により蒐集した。また同時に、日本古代・中世の典籍や懐紙、文書・記録などについても、関連するものとして蒐集に努めた。本年度中に調査を終えた売立目録は合計1620冊(池田文庫分425冊・奈良国立博物館分1195冊)で、ひとまず両機関に所蔵される売立目録全体の調査を終えた(池田文庫分については昨年度に1457冊調査済み)。 次に、主要な『明月記』断簡等の史料翻刻に備え、池田文庫所蔵の売立目録のうち80冊あまりを再度精査し、内容の確認や文字の判読に努めた。この作業は次年度も引き続き行い、成果を公表する予定である。 また、『明月記』原本紙背から剥離された文書についても、昨年度に引き続き所在状況の把握と、博物館展覧会図録等の電子コピーなどによる蒐集を進めた。特に、本年度は陽明文庫に出張し、同文庫に所蔵される『明月記』原本紙背から剥離された可能性のある古文書数十点を調査した。 このほか、以上の作業を進めるなかで得た知見をもとに、『鎌倉遺文研究』26号誌上に『熊野御幸記』(『明月記』の別記)に関連の深い史料の翻刻を発表した。また、『明月記』原本を所蔵する下郷共済会(長浜市)に出張し、講演および原本調査を行った。
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Research Products
(2 results)