2011 Fiscal Year Annual Research Report
唐物から見た日本文化史の総合的研究-上代から近世まで-
Project/Area Number |
21520184
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
河添 房江 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (80187616)
|
Keywords | 国文学 / 歴史学 / 美術史 / 唐物 / 文化史 |
Research Abstract |
本年度も昨年度に引き続き平安・鎌倉・室町時代にかけての唐物に関する基本図書・基本文献を、歴史学や美術史を中心に揃えた。奈良や神戸への出張を含めて、各地の博物館・美術館などで唐物に関する展示も多く調査し、研究に必要な図録を収集した。 また唐物を描いた源氏絵のデータを分析して、8,月下旬にエストニアのタリンで開催されたEAJSという日本学の国際学会で、「『源氏物語』と唐物-源氏絵を媒介として-」と題してのパネル発表をすることができた。パワーポイントを使った源氏絵の分析はおおむね好評で、その発表の一部は、雑誌「むらさき」に「源氏絵に描かれた唐物-末摘花の「黒貂の皮衣」-」と題して活字化した。 さらに11月には、唐物研究が専門の皆川雅樹氏と共編で、『アジア遊学』の特集号「唐物と東アジア舶載品をめぐる文化交流史」を刊行することができた。歴史学・美術史・国文学の研究者など、計15名による執筆で、唐物についてのそれぞれの分野を超えての学際的な研究であり、その意味でも一つの成果を示しえたと自負する。なお、その中で研究代表者は序文と上代の唐物について執筆している。 その他にも、研究成果を論文として発表したものに、8月の雑誌『国文学 解釈と鑑賞』の「アジアの中の源氏物語」、3月の『アジア遊学』151号の「嵯峨朝・仁明朝の王権と東アジア」などがある。 また来年度に向けて、秋から冬にかけて上代から鎌倉期まで唐物についての報告書用の原稿をまとめた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、唐物とよばれる種々の舶載品の歴史を、文学資料を中心に、上代から近世まで通史的にたどり、唐物全般が日本文化にどのような影響を与えたかを明らかにしていくことにある。平成21年度から23年度までに、すでに上代から室町前期までの分析をほぼ終えて、報告書の原稿をまとめることができた。24年度は戦国時代と近世についてまとめる予定で、ほぼ計画通りに進行中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の計画としては、主として戦国・江戸時代にかけての唐物に関する本やデータを収集し、分析するである。その研究成果の一部は、6,月の全国大学国語国文学会で報告の予定である。また連携研究者とともに今年の秋に、近世の唐物をめぐる公開シンポジウムを開催する予定である。その際には、外部の研究者を講師として招聘し、基調講演をお願いする。そこでの講演や発表は、年度末に報告書として収載する予定である。
|
Research Products
(5 results)