2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520186
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
中丸 宣明 University of Yamanashi, 教育人間科学部, 教授 (80198184)
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Keywords | 日本近代文学 / 話芸 / 物語消費 |
Research Abstract |
三遊亭円朝の長編創作人情話の近代文学成立に与えた影響を調査研究するという研究のための基礎作業に21年度は専念するとともに、円朝の作品発表の場となった、明治30年代までのメディア状況・文学のあり方の基礎研究に従事した。基礎研究に関しては 1、やまと新聞を中心に円朝作品の新聞初出本文の調査収集 2、やまと新聞を中心に円朝作品の雑誌初出本文の調査収集 3、大川屋本・法令館本など貸本として流通した円朝本の調査 を行ったが、1についてはほぼ90%の作業を終了。国会図書館所蔵資料より当該連載記事を複写、本文異同の基礎作業に着手するととともに、残余の10%作業、やまと新聞の国会図書館欠号分の調査、および初出未詳作品の初出紙探索の予備調査を行った。2については日本館という現在ほとんどその活動実態がわかっていない出版社の雑誌に円朝作品の初出を発見するなどの成果を得たが、同時代の話芸速記掲載雑誌(「百花園」「新小説」「文芸倶楽部」)などの予備調査を行った。3については大川屋本についてはほぼその出版の大概を把握できたものと思われるがそれ以外の出版社については今後の課題を残した。明治30年代までのメディア状況・文学のあり方の研究については 1、明治20年代の末における「大新聞」「小新聞」の融合とその記事の政客の変化をあとづけ、それにともなって江戸期の「草双紙」の命脈をひく読み物の変化と、いわゆる「赤本」と称する、物語消費の最末端のありようの一端を明らかにした。その成果は、新聞や座視というメディアにおける落語の速記を位置に関する考察の一端をなすものである。
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