2013 Fiscal Year Annual Research Report
浄土真宗と和歌―真宗仏光寺派と桂園派の関係を中心として―
Project/Area Number |
21520191
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
田中 仁 鳥取大学, 地域学部, 教授 (80217067)
|
Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 国文学 / 近世和歌 |
Research Abstract |
本年度は、前年度に引きつづき本山佛光寺所蔵資料、洛東遺芳館所蔵資料を中心に調査し、その成果として「桂園派と真宗佛光寺派の交流・交差―香川景樹添削随応上人筆当座会記―」を公表した。「香川景樹添削随応上人筆当座会記」は、文化四年(1807)七月十九日、二十日に催された当座会の次第を、佛光寺派第二十三代門主随応上人が記し、香川景樹が添削したものである。本当座会記によれば、この当座会は十九日に安住台(佛光寺寺内。随応上人の弟応専連枝の住居)、二十日に木村高敦、高行(佛光寺家中)宅で催され、香川景樹をはじめとして熊谷直好、木下幸文、斧木などの桂園派関係者、随応上人・応専連枝をはじめとして義肇、恵岳などの佛光寺関係者が出詠している。そのため桂園派と佛光寺派の密接な交流・交差の様を具体的にうかがうことのできる資料と考えて、景樹の添削の跡もふくめて全文を翻刻した。また、そこに施された景樹の添削は、和歌については語調・語勢と詠まれた状況・景物との不一致を正そうとするものであること、散文部分の添削は具体性・記録性を削除することによって、この当座会が随応上人の主宰する文化的な時空を形成していることを強調しようとするものであることを指摘した。 そのほか、諸般の事情によって成稿あるいは公表に至らなかったが、本願寺派の学僧覚成寺超然(寛政四年・1793~慶応四年・1868)の日記により、超然は寺務・私事で上京すると、頻繁に香川黄中を訪問して和歌を論じ、歌会を催したこと、また洛東遺芳館所蔵の柏原家文書により、本願寺派門徒であった柏原家の初代三右衛門、法名浅真(元禄二年・1689没)が「ひたすら仏の道に趣、西方浄土に念をかけ御名をとなふるに昼夜滞なし」であった一方で、「敷島の道に心をよせあまたの和歌を詠じたまひけり」といった人物であったこと等々がわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
|