2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21520192
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
竹村 信治 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (80145705)
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Keywords | 国文学 / 今昔物語集 / データベース / 言述研究 |
Research Abstract |
本研究は、『今昔物語集』研究の一環として、『今昔物語集事典』作製にむけたデータベースの構築を目指すものである。本年度は、以下の3課題を研究内容とした。 1.現行5注釈書(日本古典文学大系本・日本古典文学全集本・日本古典集成本・新日本古典文学大系本・新編日本古典文学全集本)の頭注・補注記事・付録資料のデータベース化 初年度(21年)、第2年度(22年)引き続き、標記5注釈書の補注記事・付録資料等のデータベース化を行い、本年度は新日本古典文学大系3~5巻(巻解説、作業終了)、同1巻(出典考証)、新編日本古典文学全集本2~4巻(人名・仏教語・地名寺社名解説、作業終了)、同1~4巻(出典関連資料一覧、作業終了)を入力した。各注釈書の頭注・脚注以外のデータは、これでほぼ終了した(地図・図版は未了)。 これを承けて、本年度までに入力したデータをもとに、言語事象(国語学関連)データベース、話型・モティーフデータベース、試案データベースB「人物および人物関係総覧」の作成を開始した。 2.『今昔物語集』記事分析[試案データベースD「今昔物語集事項索引」作成準備作業] 各注釈書頭注・脚注データ、新日本古典文学大系「今昔物語集索引」データの入力を開始した。来年度には完了する見込みである。それを用いた試案データベースC「今昔物語集分類語彙表及び定型表現・頻用語彙総覧」にも来年度は着手したい。 3.『今昔物語集』伝本調査[データベースA「今昔物語集誤読・錯誤事例一覧」作成資料] 国文学研究資料館紙焼き写真版で東洋文庫本(複写禁止)の誤読・錯誤に関する考証書入記事のデータ入力を実施するとともに(巻5まで完了)、昨年度までに入力した諸本校合に関する書入記事データの再確認(完了)を行った。データベースAについては研究書や諸注釈書頭注の指摘を整理する形での作業を進めている。東洋文庫本の考証書入のデータ化はそれに研究史的な展望をもたせるものとなろう。来年度は東洋文庫で原本調査を行い(朱墨確認)、紙焼き資料を入手して書入記事入力作業の完了を目指したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で予定していた「現行5注釈書(日本古典文学大系本・日本古典文学全集本・日本古典集成本・新日本古典文学大系本・新編日本古典文学全集本)の頭注・補注記事・付録資料のデータベース化」は、「頭注・脚注」を残してほぼ完成した。「頭注・脚注」は来年度の課題である。 入力作業の完了を優先して人件費・謝金への配分を増やしたために、旅費予算による調査が国文学研究資料館での1回しか執行できず、東洋文庫に出向いての伝本調査ならびに紙焼き資料の入手が叶わなかった。来年度は早期に東洋文庫での調査を実施し、本紙焼き資料を入手して書入注記のデータ入力の進捗を図りたい。
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Strategy for Future Research Activity |
現行5注釈書(日本古典文学大系本・日本古典文学全集本・日本古典集成本・新日本古典文学大系本・新編日本古典文学全集本)に付載の諸資料についてほぼ入力を終えたので、来年度からは本研究の主題であるデータベースの構築に向けた具体的な作業にとりかかる。各注釈書の頭注・脚注の入力データからは、当初予定していたものに加えていくつかのデータベースを構想することができそうだが、研究期間に完成しうるもの、なお引き続き時間を要するものを見極めつつ作業を進めたい。
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