2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520192
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
竹村 信治 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (80145705)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国文学 / 今昔物語集 / データベース / 言述研究 |
Research Abstract |
本研究は、『今昔物語集』研究の一環として、『今昔物語集事典』作製にむけたデータベースの構築を目指すものである。本年度は、以下の4課題を研究内容とした。 1. 現行5注釈書の頭注・脚注記事のデータベース化=各注釈の記事をエクセルに入力し、日本古典文学大系の本文をもとに日本語ソフト「ワード」のハーパーリンク機能を用いてアクセスできる形で作業を進めている。現在は日本古典文学大系第2巻(今昔物語集巻6を終了した段階。来年度中の完成は見込めず、科研研究期間終了後の継続作業になる。 2. 現行5注釈書からの入力したデータをもととした、①言語事象(国語学関連)データベース、②話型・モティーフデータベース、③試案データベースB「人物および人物関係総覧」の作成=①は日本古典文学大系の解説・補注の整理が完成し『角川古語大辞典』との照合作業中、②は日本古典文学全集の各話解説の整理が第2巻まで完成、③は終了。①②を来年度中に完成させる。 3. 『今昔物語集』記事分析 [試案データベースD「今昔物語集事項索引」作成準備作業](①各注釈書頭注・脚注データ、新日本古典文学大系「今昔物語集索引」データの入力の完了、②これを用いた試案データベースC「今昔物語集分類語彙表及び定型表現・頻用語彙総覧」の着手)=「今昔物語集索引」の項目語彙入力、完了。日本古典文学大系代5巻「要語一覧」、日本古典集成「頭注索引」などとつきあわせの立項「事項」の確定、「定型表現・頻用語彙総覧」を来年度中に完成させる。 4. 試案データベースA「今昔物語集誤読・錯誤事例一覧」の作成(①研究書および諸注釈書頭注の指摘の整理、②東洋文庫本の考証書入のデータ化(伝本調査、紙焼資料の入手))=②は全冊紙焼写真の入手が不可能で国文学研究資料館調査継続中、①は入力後の分類作業中で来年度中には完成の見込みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたデータベース試案の内、B「人物および人物関係総覧」が形になり、A[今昔物語集誤読・錯誤事例一覧」、C「今昔物語集分類語彙表及び定型表現・頻用語彙総覧」、D今昔物語集事項索引」も基礎データの入力が終了間近となり、その成果の一部を研究会などで発表している。ただし、年度当初に予定していた、現行5注釈書の頭注・脚注は本文との対応関係を表示する方法、情報量の多さなどにより、研究期間中のデータ化終了はむずかしい。また。東洋文庫本今昔物語集の本文書き入れ注記のデータ化も、全冊紙焼写真の入手が困難となり研究期間中には提示できる形にはならない。来年度は、これに代わるものとしての「言語事象(国語学関連)データベース」「話型・モティーフデータベース」「目録題・各話標題対照一覧データベース(付、諸本校異表示)」の作成を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
予定していたA~Dのデータベースのうち、Cの「分類語彙表」は本年刊行予定の『日本古典対照分類語彙表』(『古典対照語彙表』の改訂増補版)を待っての作業となる点、やや日程的な不安が残る。『分類語彙表』の分類項目と照合させつつ作業を進め、なんとか第1次試案の作成にこぎ着けたい。 全冊紙焼写真の困難な東洋文庫本今昔物語集については、奥書、識語、対校諸本関連のデータは入力済みなので、まずはその提示を行う。本研究課題とは別に該本の影印公刊の申請などを試み、その中で本文書き入れ注記のデータ化も将来的な完成を目指したい。 現行5注釈書の頭注・脚注のデータ化は完成の見通しが立っていない。理由は、現行の注釈書本文に訓読の異なりも含めて相違点が多く、今昔物語集の本文の総点検をともなう作業となっているからである。いわば「校異今昔」の作成と平行した作業である。研究期間終了後に期間を区切らず継続的に進めていくこととしたい。
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