2011 Fiscal Year Annual Research Report
戦後期日本のサークル運動と文学についての基礎的研究
Project/Area Number |
21520193
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鳥羽 耕史 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (90346586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅本 康之 藤女子大学, 文学部, 教授 (90316232)
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Keywords | 日本文学 / 杉浦明平 / 峠三吉 / 池田龍雄 / へたくそ詩 / 安部公房 / 花田清輝 / 共同制作論 |
Research Abstract |
研究の総まとめを行う年度であるため、新しい資料の収集よりも、それらの分析・公開に重点を置く年度とした。 研究代表者・鳥羽耕史は、これまでの東海地方でのサークル調査の成果を踏まえつつ、共著『杉浦明平を読む』で、杉浦明平に焦点をしぼった形でのまとめを行った。また、広島の『われらの詩』サークルを基盤とした峠三吉の問題を検閲との関わりにおいて調査し、「「原爆詩人」像の形成と検閲/編集」、ならびに「Formation of the "A-Bomb Poet" and Censorship/Editing」という学会報告を行った。<現在の会>でのルポルタージュの仕事に関わった池田龍雄氏へのインタビューをまとめた「まず「現場」があった」も発表した。さらに、全国のサークルの詩をまとめた二つの詩集を比較しつつ、いわゆる「へたくそ詩」の文学的意義を考える仕事として、「「へたくそ詩」から考える文学の公共圏」という学会報告、および「「へたくそ詩」再評価のために」という論文を発表した。その他にも、戦後の文学・文化の考察や紹介の仕事として、「国際安部公房ワークショップ報告」という雑誌記事で立命館大学で行われたワークショップの紹介をし、「早稲田の安部公房」という雑誌記事で早稲田大学での安部の講演の録音資料を紹介した。また、「ハイブリッドとしての『蟹工船』」という独立プロ映画と文学についての研究報告、「ルポルタージュの器としての紙/布/フィルム」という戦後の幻灯などにおける記録についての研究報告を行い、『太宰治研究19』の分担執筆で「作家の像」についての考察を行った。 研究分担者・菅本康之は、ホームページを整備し、『人民文学』と『生活と文学』の総目次の他、関連する論考の公開をはじめた。「花田清輝の弁証法」と「花田清輝の「共同制作論」」については既に論文化しており、帰国後に学会誌へ投稿する予定である。
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Research Products
(12 results)