2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520214
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
蔡 毅 Nanzan University, 外国語学部, 教授 (50263504)
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Keywords | 日本漢籍 / 漂流民 / 漢詩外交 / 華夷之辨 / 全宋文補遺 / 漢籍交流 / 詩界革命 / 文明開化新詩 |
Research Abstract |
日本文化の中国へのいわゆる「逆輸入」、特に日本文化の重要な構成要素であった日本漢詩の中国への流伝については、今まで学界ではほとんど言及されていないため、筆者はこの空白を埋めようと考えている。本年度は主に清代における「日本漂流民と漢詩外交」というテーマについて研究を行った。中国遼寧省立図書館から入手した訓点付きの貴重資料「漂流人帰帆送別之詩」をめぐって、さまざまな関連資料を網羅的に集めて詳しく検討した上、「漂流民の漢詩外交」を題として論文にまとめ、9月台湾中央研究院が主催する「四海斯文自一家:東亜使節文化書写」国際学術研討会で発表した。帰国後、関係者の意見を参考にし、「『漂流人帰帆送別之詩』考論」に題を改めて、中国の著名学術誌『域外漢籍研究集刊』(中華書局、北京)に寄稿した(2010年5月、第6号に掲載される予定)。 ほかに、(1)8月中国延辺大学で開催された「東方詩話学会第6回国際学術発表大会」で「草根の間の『華夷之辨』」を、(2)10月関西大学で開催された「第6回日本漢学国際学術研討会」で「幕末明治期における日中漢詩交流」を、(3)10月下旬中国四川大学で開催された「第6回宋代文学国際学術研討会」で「日本漢籍と『全宋文』補遺」を、(4)11月同志社大学で開催された(九州大学主催)「東アジア漢籍交流シンポジウムin京都」で「遺を補い佚を輯め、隠るるを索め沈むを鈎る-日中漢籍交流における『相互補完』の意義」を、それぞれ発表した。そのうちの(2)は2010年2月刊行の「アジア文化交流研究」第5号に「黄遵憲の『詩界革命』と明治『文明開化新詩』」を題として掲載され、(4)も2010年内に九州大学責任編集の論文集に掲載される予定である。 上記の一連の成果は、筆者が目指している『中国における日本漢詩の受容』という著書の下書きの一部である。
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