2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520214
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
蔡 毅 南山大学, 外国語学部, 教授 (50263504)
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Keywords | 日本漢籍 / 日本漢詩 / 逆輸入 / 厳従簡 / 殊域周諮録 |
Research Abstract |
日本文化の中国へのいわゆる「逆輸入」、特に日本文化の重要な構成要素であった日本漢詩の中国への流伝については、今まで学界ではほとんど言及されていないため、筆者はこの空白を埋めようと考えている。本年度は主に「明代における日本漢詩の受容」というテーマについて研究を行った。明代の日本漢詩を収録している複数の典籍から代表作とも言える厳従簡の『殊域周諮録』を選び、さまざまな関連資料を網羅的に集めて詳しく検討した上、「厳従簡『殊域周諮録』所收日本漢詩考」を題として、まずは3月下旬香港珠海学院が主催する「『漢学与東亜文化』国際学術研討会」で口頭発表をした。帰国後、研究関係者の意見を参考にし、さらに充実して論文にまとめ、『東亜漢学論集』(香港珠海学院)に寄稿した(2011年7月掲載予定)。 ほかに、(1)8月中国湖南科技大学で開催された「『中国文学の伝播と受容』国際学術研討会」で「日本漢詩の中国での伝播を論ず」、(2)9月中国中山大学で開催された「『美学と文化生態建設』国際論壇」で「想像力に翼を-酒と文芸創作」という研究発表をした。なお、9月中国南京大学、2011年3月中国上海師範大学・華東師範大学で、上記の研究テーマをめぐってそれぞれ講演した。そのうちの(1)は「日本漢詩在中国」を題として学術誌『中国古代文学理論研究』(華東師範大学)に、(2)は「給想像力挿上双翼-酒与文芸創作」を題として学術誌『文化遺産』(中山大学)に寄稿し、いずれも2011年内掲載される予定である。 上記の一連の成果は、筆者が目指している『中国における日本漢詩の受容』という著書の下書きの一部である。
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