2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520228
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
武井 協三 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (60105567)
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Keywords | 歌舞伎 / 野郎歌舞伎 / 演技 / 演出 / 絵画資料 / 『役者絵づくし』 / シカゴ美術館 / ボストン美術館 |
Research Abstract |
平成22年度は主として、野郎歌舞伎の重要な絵画資料である『役者絵づくし』についての調査研究を実施した。従来『役者絵づくし』は複製本(『稀書複製会叢書』)によってのみ研究が進められてきたが、国文学研究資料館による原本(完本4巻)購入や東京某家所蔵本(端本2巻の写真)の発掘によって、初版・再版の存在や成立年代の確定について、研究を大幅に進展させることができた。すなわち、某家所蔵本は国文学研究資料館本より前の版であり、元禄元年度から元禄14年度の刊行、国文学研究資料館本は元禄14年度以降刊行の改版本であることが明らかになった。この成果については、4月に演劇研究会(於同志社大学)おいて「『役者絵づくし』のことなど」と題して研究発表を行った。ただしこれは第一次の成果であり、初版本の存在とその成立年について、さらに調査が必要であることが判明したため、12月に『役者絵づくし』のシカゴ美術館とボストン美術館の所蔵本を調査を実施した。この調査の成果を反映させて、平成23年5月に研究発表を行い、さらに東京某家所蔵本の原本調査の結果を踏まえて8月にも研究発表を行う予定であり、これらを総合した最終的な成果を、本年度中に論文としてまとめる予定である。 さらに本研究の成果中間報告として増補版「江戸記録一覧稿」を、福田千鶴氏の協力の下に作成し、本研究の基盤を固めると共に、関係の研究者に配布した。また、関連の研究発表として「江戸藩邸における芸能上演」(沖縄県立芸術大学連続シンポジウム「御冠船踊り-近世の自己表象-」)を行った。
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Research Products
(2 results)