2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520228
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
武井 協三 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (60105567)
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Keywords | 歌舞伎 / 野郎歌舞伎 / 演技 / 演出 / 絵画資料 / 『役者絵づくし』 / 雁首のすげ替え |
Research Abstract |
シカゴ美術館蔵『役者絵づくし』およびボストン美術館蔵『役者絵づくし』の写真を、国内の『役者絵づくし』(国文学研究資料館所蔵原本・万葉洞所蔵本写真)と比較検討し、さらに大英図書館所蔵本、神戸女子大学所蔵本とも比較して、諸本の系統分類を行い、各系統の成立刊行年代を考証した。平成23年度の成果としては、この『役者絵づくし』の考証が最も主たるものである。成果論文を平成24年3月刊行の『国文学研究資料館紀要』に投稿するつもりであったが、最終的なデータ確認に手間取り、果たせなかった。ただし口頭での発表は次の2回行っており、平成24年5月段階で論文原稿は完成しており、平成25年3月刊行の『国文学研究資料館紀要』には、確実に掲載することになる。 ・5月21日、研究会口頭発表「シカゴ美術館蔵『役者絵づくし』について」(国文学研究資料館スペンサー研究会) ・8月3日、研究会口頭発表「『役者絵づくし』と雁首のすげ替え」(国文学研究資料館「近世的表現様式と知の越境-文学・芸能・絵画による総合研究」研究会) また、8月にエストニア・タリン大学で開催されたEAJS(ヨーロッパ日本研究学会)、9月にイタリア・ボローニャ大学で開催されたAISTUGIA(伊日研究学会)に参加し、ロンドン大学アンドリュー・ガーストル教授、ヴェネツィア大学ボナヴェントゥーラ・ルペルティ教授などから、本研究についての、高い評価と、さらなる情報提供を口頭で得た。国内では佐渡市鳥越文庫などの諸機関において野郎歌舞伎の演技演出資料の調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野郎歌舞伎の演技・演出の実態解明が本研究の最終目標である。これは大きな目標であるため、実態解明は一部に止まらざるを得ないだろう。ただし、この目標に到達するための在外絵画資料の調査は順調に進展している。とくにシカゴ美術館蔵『役者絵づくし』と国文学研究資料館蔵『役者絵づくし』は異板であることが判明し、考証の結果、それぞれの成立刊行年も明らかになり、当該研究の基盤を固めることができた。目標に向かって、小さくはあるが、確実で堅牢な一歩を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年3月刊行の『国文学研究資料館紀要』に成果論文を発表する予定であったが、データ確認が遅れたため、本年度末刊行の『国文学研究資料館紀要』に掲載する。野郎歌舞伎の演技・演出の実態は全面的に解明されるところまではいかないが、それでも確実な解明を進められたところも多い。単行本『若衆たちの歌舞伎』を執筆し、1~2年のうちに、この成果を一般にも還元する予定である。
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Research Products
(2 results)