2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520239
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
篠崎 実 Chiba University, 文学部, 准教授 (40170881)
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Keywords | 手稿文化 / 活字文化 / 恋愛ソネット集 / 雑録手稿 / 雑録詩集 / 戯曲出版 |
Research Abstract |
平成21年8月に連合王国・オックスフォード大学Bodleian Libraryにて行なった資料蒐集、調査を中心に、おもに16世紀末葉における叙情詩と戯曲の出版と文学上の表現の関係に関する一次文献を中心とした資料の収集と調査・研究を行なった。対象としたのは、自作作品集を編纂し、最初匿名で雑録手稿を思わせる形態で出版し、そののち改訂版を実名で出版した詩人George Gascoigne、その恋愛ソネット集Astrophil and Stellaが個人詩集出版への道を拓くことになったSir Philip Sidney、ソネット集を出版する一方自作の劇が自身の手のおよばないところで出版されたとおぼしいWilliam Shakespeareなど。これらの詩人たちの恋愛ソネット集と文学ジャンルとして類縁性のあるShakespeareのRomeo and Julietの出版形態と文学的特徴の関連をおもに調査して、Gascoigne、Sidneyの出版との関わりからルネサンス期の過渡性を探り、死後出版され、印刷文化よりも手稿文化に属するSidneyの詩集出版が、職業詩人による恋愛ソネット集の出版ブームを惹きおこす過程への理解を深め、ShakespeareのRomeo and Juliet出版に関して、ソネット集出版ブームが大衆劇場で演じられる演目に影響をおよぼしたことを確かめ、彼が戯曲の出版に無頓着だったために、創作段階の書きこみを残す原稿に基づく版本と上演台本に基づく版本が出版され、そのためかえって恋愛ソネット集の常套敵表現を演劇的表現に置き換えて作った彼の恋愛悲劇の創作過程がよくわかるという知見をえることができた。
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