2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520252
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
野谷 啓二 Kobe University, 国際文化学研究科, 教授 (80164698)
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Keywords | ジョン・ヘンリ・ニューマン / カトリック文学 |
Research Abstract |
平成21年度における研究課題は、当初の計画では、基本的作業として1.ヴィクトリア時代の前にイングランドにおけるカトリシズム再評価の動きを準備したと考えられるウィリアム・コベットの宗教改革再評価の書A History of Protestant Reformation in England and Ireland(1824-27)およびRural Rides(1830)の文献研究、そして2.コベットの歴史観に影響を与え、浩瀚なHistory of England(1819-30)を著わし、イギリスのランケとも称されるカトリックの歴史家ジョン・リンガードの意義を、最近続けて出版された彼の伝記・研究などを参照しながら検討すること、さらには3.ヴィクトリア時代のカトリック復興のコンテキストを照らし出してくれるフィリップ・デ・ライルとケネルム・ディグビィの中世趣味について検討することであった。 1.については、おおむね順調に進めることができた。2.はEdwin Jones, John Lingard and the Pursuit of Historical Truth(Sussex Academic Pr ; 2001) ; Peter Phillips, John Lingard(Gracewing, 2008)などの資料を用いて進めている。1.と2.は共に、まだ論文の形式で発表する段階にはないが、3.については5月に日本キリスト教文学会の年次大会において「中世主義者としてのイーヴリン・ウォー」を発表し、その中でディグビーの『名誉の砦』について言及し、20世紀までにも中世主義的思考が継続していることを明らかにすることができた。この口頭発表をもとにした論文は『キリスト教文学研究』(2010年5月刊行)に採用された。
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Research Products
(2 results)