2012 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ文学における人種と地域から見た階級表象の領域横断的研究
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21520256
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
田中 久男 福山大学, 人間文化学部, 教授 (30039135)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 人種 / 地域 / 階級 / シンクレア・ルイス / ウィラ・キャザー / マーク・トウェイン / ジャック・ロンドン / トシオ・モリ |
Research Abstract |
人種と地域と宗教が絡まるアメリカ社会の複雑な階級構成を反映する文学作品を考察する本研究において、平成24年度は、これまでの3年間で手薄になっていた特定地域を対象に、集中的に研究を遂行した。先ず中西部に関しては、ミネソタ州出身でアメリカ最初のノーベル賞作家シンクレア・ルイスの『本町通り』と『バビット』を中心に、アメリカのスモールタウンを隠微に支配する特権階級意識を究明し、ネブラスカ大学付属プレーリー研究所やサウスダコタ州オグララ・ラコタ大学付設の「ネイティヴ・アメリカン歴史センター」等で収集した資料をもとに、ウィラ・キャザーが19世紀後半のフロンティア開拓民の生活を捉えた『開拓者』や『私のアントニア』を考察した。 西部に関しては、マーク・トウェインのネヴァダ州の新聞記者時代を、ヴァージニア・シティの記念博物館や、州立大学リノ校図書館で収集した資料を基に跡付け、西部旅行記『苦難を忍びて』の意義の再検討を試みた。さらにカリフォルニア州オークランドに縁の深いジャック・ロンドンと日系二世作家トシオ・モリの文学の伝記的背景を探求するため、市立図書館内の歴史資料室で収集した多量の資料を読み込み、『ジャック・ロンドン放浪記』や、『カリフォルニア州ヨコハマ』等に見られる人種や宗教的な要素と階級との関連を、当時西海岸を席巻した黄禍論も視野に入れて考察した。 取り残しの南西部を埋める研究作業として、ニュー・メキシコ大学にて行ったレズリー・マーモン・シルコーに関する収集資料を読破する一方、彼女の講演やインタヴューのCDを聞き、ネイティヴ・アメリカン作家としての人種意識、宗教観、場所の感覚、ワスプ系文化との接触・混交による認識の変化等を考察した。サンタフェの公立図書館や歴史資料館を使って、近辺を舞台としたキャザーの歴史小説『大司教に死は来る』における、時代背景や文化の混交や衝突の諸相を究明した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)