2012 Fiscal Year Annual Research Report
ウィリアム・フォークナーの技法と人種・階級・ジェンダーの境界消失のテーマ
Project/Area Number |
21520257
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大地 真介 広島大学, 大学院文学研究科, 准教授 (50330650)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | アメリカ文学 / ウィリアム・フォークナー / 人種 / 階級 / ジェンダー |
Research Abstract |
筆者の研究は、アメリカを代表する作家の一人ウィリアム・フォークナーの小説とアメリカの社会・文化との関係についての研究に貢献することを目的としている。具体的に言えば、フォークナーの作品の主要なテーマに関しては、従来、〈ストーリー〉の時間と空間を解体するフォークナーの技法とは別個に論じられがちであったが、筆者は、次のような画期的な論を提示した。フォークナーの代表作は皆、南北戦争での敗北によってアメリカ南部で劇的に生じた〈人種・階級・ジェンダーの境界の消失〉、すなわち〈支配階級の白人男性層という旧南部社会の基盤の解体〉が主要なテーマであり、そのテーマが、〈ストーリー〉の時間と空間、すなわち〈ストーリー〉の基盤を劇的に解体する技法によって強化されている。この研究の当該年度の実績の具体的内容は下記の通りである。 まず筆者は、伊藤詔子広島大学名誉教授監修の研究書『カウンターナラティヴから語るアメリカ文学』に、「旧南部の幻影――フォークナーの『八月の光』における人種・階級・ジェンダーの境界消失」という論文を発表した。それに加えて、「『行け、モーゼ』の技法とテーマ――人種・階級・ジェンダーの境界消失」という論文を執筆しており、それを今年度中に著名雑誌に投稿する予定である。さらに筆者は、先述したフォークナー作品の主要テーマに関して、「Margaret MitchellのGone with the WindとWilliam Faulknerの "A Rose for Emily"――旧南部への執着」という論文を発表した。 また、フォークナーの小説の原稿や書簡等の資料を所蔵するヴァージニア大学、プリンストン大学、イェール大学およびニューヨーク公立図書館に資料収集に行き、筆者の論文執筆に生かした次第である。 以上のように、筆者は、交付申請書の研究実施計画を充分に達成し、実り多い研究成果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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