2011 Fiscal Year Annual Research Report
オキナワ系アメリカ文学の生成と発展に関する基礎研究
Project/Area Number |
21520264
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
山里 勝己 琉球大学, 法文学部, 教授 (80101450)
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Keywords | オキナワ系アメリカ文学 / 日系アメリカ文学 / アジア系アメリカ文学 / アメリカ文学 / ジョン・シロタ / Jon Shirota / Evelyn Yoki Tan / オキナワ系ディアスポラ |
Research Abstract |
本研究では、アメリカ文学の中で未開拓であった「オキナワ系アメリカ文学」の生成と発展についての基礎的研究を行った。いわゆる「本土」系の日系文学はこれまで活発に研究されてきたが、オキナワ系アメリカ人とその子孫たちによる文学は、本研究が始まるまで研究の対象としてはほとんど取りあげられることはなかった。本研究は、基礎テクストの収集と分析・評価を行うことにより、「オキナワ系アメリカ文学」の全体像を明らかにし、その成果を関連する日系文学、アジア系アメリカ文学等の理解に資し、最終的にはアメリカ文学の枠組みの見直し、その多様性、多層性の理解に資すことを目的として取り組まれた。具体的には、(1)オキナワ系アメリカ人の一大ディアスポラであるハワイにおける資料の発掘・収集を重点課題として取り組んだ。調査先は、ハワイ大学図書館及びそのスペシャルコレクション室等で資料の調査と発掘・複写等を行い、併せて個人所蔵の資料の調査・蒐集を行った。(2)調査の際には、ハワイ大学の研究者、オキナワ系コミュニティの協力を得た。(3)また、北米大陸における中心的なオキナワ系ディアスポラのあるロスアンゼルスとサンフランシスコにおいても調査・資料収集を行い、作家等に対するインタビューも行った。その結果、これまで知られていなかった重要なテクスト等の発見・発掘がなされ、オキナワ系アメリカ文学の輪郭が浮かび上がり、重要な作品の蒐集・分析を行うことができた。このような研究により、アジア系アメリカ文学、日系アメリカ文学、そしてアメリカ文学全体がより多様、多彩なものとして理解され、このような既成のカテゴリーの再定義につながるような成果が得られた。これが本研究の最も重要な成果であり、「オキナワ系アメリカ文学」はこれからさらに分析され、深化されるべき領域であると考えられる。
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