2012 Fiscal Year Annual Research Report
18-19世紀イギリスの旅行記に見られる美意識とアイデンティティに関する研究
Project/Area Number |
21520275
|
Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
天野 みゆき 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (50258282)
|
Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 英米文学 / 旅行記 / 美意識 / アイデンティティ |
Research Abstract |
1)メアリ・ウルストンクラフトとジェイン・オースティンの作品における崇高と美、およびピクチャレスクについて研究を行った。ウルストンクラフトは、その政治的、フェミニスト的旅行記『スウェーデン、ノルウェー、デンマーク短期滞在中にしたためた手紙』において、エドマンド・バークによりジェンダー化された「崇高と美」を再定義し、語りの装置として巧みに用いている。美的体験がウルストンクラフト自身の内面を探る装置であるだけでなく、読者(意図された究極の読者は恋人のイムレイ)を書き手の語りに引き込み、覚醒させ、説得するための装置としても機能しているのである。現在、ウルストンクラフトについての論文を執筆中である。また、ウルストンクラフトとオースティンの類似点と相違点についての分析も行った。 2)チャールズ・ディケンズの生誕200年を記念して、ディケンズがその旅行記『アメリカ印象記』において詳細に描写したマサチューセッツ州、ローウェル国立歴史公園で行われた特別展示「ディケンズとマサチューセッツ」を訪れ、今後の研究に有益な資料を収集した。旅行記と小説の相互影響についての研究を進めた。 3)イザベラ・バードの『日本奥地紀行』との比較において、エリザ・シドモアの『日本紀行』および「不朽の島」を分析することにより、明治時代に日本を訪れた外国人の旅行形態、日本についての知識や関心とともに、外国人同士の知的ネットワークを明らかにすることができた。シドモアについての論文を発表した。 4)旅行記のデータベースに入力するデータを収集、作成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
時間不足と予想外の資料の発見により、全体的に遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は4月から9月までイギリスで学外研修を行うため、これまでの実績を論文として発表していく予定である。当初の計画に基づき、遅れている部分の研究をできるだけ進めて、今後の研究の発展につながるようにする。
|