2009 Fiscal Year Annual Research Report
近代英国を中心としたエンブレムにおける聖と俗の表象に関する学際的研究
Project/Area Number |
21520283
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
植月 恵一郎 Nihon University, 芸術学部, 教授 (10213373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 美作子 成城大学, 文芸学部, 准教授 (10407611)
山本 真司 天理大学, 国際文化学部, 講師 (80434976)
伊藤 博明 埼玉大学, 教養学部, 教授 (70184679)
木村 三郎 日本大学, 芸術学部, 教授 (00130477)
出羽 尚 日本大学, 芸術学部, ポスト・ドクター (00434069)
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Keywords | エンブレム / シェイクスピア / オットー・ウェニウス / オウィディウス / 風景版画 / ヴィーリクス / シャンパーニュ / 動物・植物表象 |
Research Abstract |
英文学研究グループはのうち、まず植月は、動物のエンブレムのうちまず鹿に注目した。矢で傷ついた鹿のエンブレムとシェイクスピアの『お気に召すまま』の鹿狩への言及との関係、またそのエンブレムがどういう風にマーヴェルの「仔鹿の死を嘆く乙女」に影響を与えたかを考察した。同時に兎狩にも目を配り、とくに『ピーター・ラビット』の差し替えられた挿絵と本文の関係を考察した。なぜその挿絵が採用されなかったのかは、作者の意図はもとより、読者論とも関係しているし、当時の出版メディア文化の特徴も関係し、複雑な問題を孕んでいることが明らかとなった。松田は、当初のテーマに従って、十七世紀イギリスのエンブレム作家、Thomas PalmerのHundred Poosees(Slone MS 3794)や、当時の絵画作品を中心に宗教的な寓意を託された植物を調査した。また現代の広告の象徴的手法に用いられた樹木について、ピーター・デイリー氏を招聘した学術講演会にて発表した。山本は、シェイクスピアの時代のバンケット(宴会)とエンブレムの関係を考察するために英国にて資料調査を実施し、主にバンケット用の木皿に描かれた詩とエンブレム的図絵の文化的背景について研究した。 美術研究グループのうち、伊藤は、オットー・ウェニウスの『愛のエンブレム集』およびダニエル・ヘインシウスの『愛のエンブレム集』を邦訳し、モーリス・セーヴの『デリー』以来の、「愛のエンブレム」の伝統について考察した。木村はフランスにおけるカトリック・エンブレム研究のための基礎研究として、ヴィーリクスの版画とシャンパーニュの宗教絵画を分析した。出羽は、十八~十九世紀に出版された風景版画入り挿絵本に描かれた土地の表象についての研究を行った。その一環として、イギリスの大英図書館、テイト・ブリテン、リッチモンド地方図書館において、文字・図像資料の収集を行った。
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