2009 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ文学と写真/ドキュメンタリーとのインタラクティヴな関係に関する学際的研究
Project/Area Number |
21520292
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
中 良子 Kyoto Sangyo University, 文化学部, 教授 (50237195)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花岡 秀 関西学院大学, 文学部, 教授 (40172944)
渡邉 克昭 大阪大学, 言語文化研究科, 教授 (10182908)
|
Keywords | アメリカ文学 / 写真 / ウィリアム・フォークナー / ユードラ・ウェルティ / ドン・デリーロ / 南部共同体 / 9.11 / ドキュメンタリー |
Research Abstract |
本研究の初年度である本年は、研究計画に基づき、基礎的資料の調査・収集を中心に、各担当分野・時代における先行研究の概観および問題群の分類と再検討、そして研究会を開いて共同研究の方法論と方向性の確認を行った。資料調査については、「絵画と写真の交差」展(名古屋市美術館)を初めとする美術館等での実見を含む資料の検討を通して、写真が他の芸術/社会メディアに与えた影響について考察した。その結果、各担当分野において、写真と文学の影響関係を探る上でまず注目すべき重要なテクストを抽出した。中と花岡は、1930年代の南部における写真を中心としたドキュメンタリー・ムーヴメントと文学の関係性に着目し、その時代を代表するウィリアム・フォークナーとユードラ・ウェルティの作品を取り上げることになった。本年度は、まず当時の南部共同体の現実の一側面を考察し、それぞれの作家の文学作品におけるドキュメンタリー的視点を明らかにすることから始める基礎作業を行い、その成果を論文と口頭発表によって発表した。渡邉は、ドン・デリーロの作品を取り上げ、9.11以降のアメリカのポストモダンな状況において、写真が果たす歴史のイメージの再固有化の問題と文学的創造力の関わりを考察し、その成果を論文にまとめた。本年度の共同研究の締めくくりとして、研究協力者の大井浩二氏による講演会「セントルイス万国博覧会の写真を読む-『驚くべき不夜城』の光と影」(平成22年1月23日於関西学院大学)を開催した。研究組織外の研究者も交えて、歴史的事象の記録としての写真をドキュメンタリー文書に表れた政治的言説の文脈に置くことで時代の思想を読み取ることの意義と可能性について検討し、今後の共同研究の方法と方向性を確認した。
|
Research Products
(5 results)