2010 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ文学と写真/ドキュメンタリーとのインタラクティヴな関係に関する学際的研究
Project/Area Number |
21520292
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
中 良子 京都産業大学, 文化学部, 教授 (50237195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花岡 秀 関西学院大学, 文学部, 教授 (40172944)
渡邉 克昭 大阪大学, 言語文化研究科, 教授 (10182908)
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Keywords | アメリカ文学 / ドキュメンタリー / 写真 / William Faulkner / Erskine Caldwell / Don DeLillo / 第一次世界大戦 / イラク戦争 |
Research Abstract |
本年度は、昨年に引き続き、各自、アメリカ文学と写真/ドキュメンタリーに関する資料の収集と調査を行い、その成果を研究会で共有し、論文等において発表した。写真全般を担当する中は、「スナップショットの魅力」展(東京都写真美術館)を初めとする美術館での実見を含む写真資料の検討を通して、写真独自のドキュメンタリー的視点について考察を深めた。また、戦争と文学とのドキュメンタリー的関係性を調査し、そのうち、第一次世界大戦時の動員体制がアメリカ社会と作家に与えた影響を論じたKeith GandalのThe Gun and Penの書評を『フォークナー』第13号に発表した。花岡は1930年代南部の文学と写真の関係について研究を行った。30年代の経済的ならびに政治的な危機を背景として、現実を掴み取ろうとするドキュメンタリーがその存在を誇示したが、本研究では、テクストと写真、現実とフィクション、南部男性作家と北部女性写真家との間にはたらくポリティックスを考察した。さらに、作家アースキン・コールドウェルがフィクションとドキュメンタリーの狭間で揺れ動いた苦悩の本質の解明を試みた。ポストモダンにおける文学とドキュメンタリーを担当する渡邉は、ドン・デリーロの新作『ポイント・オメガ』(2010)を取り上げ、アカデミー・ドキュメンタリー長編賞受賞作『フォッグ・オブ・ウォー』を強く意識して企画されたイラク戦争回顧ドキュメンタリー映画製作の未完のプロジェクトが、いかに主人公の「深遠な時間」をめぐる哲学的ヴィジョンを紡ぎ出すか、超スローモーション・コンセプチュアル・アート『二四時間サイコ』を参照しつつ、写真と映画の臨界点を惑星思考との関係において考察した。
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Research Products
(6 results)