2010 Fiscal Year Annual Research Report
ジェームズ・ホッグを中心としたスコットランド文学・文化研究
Project/Area Number |
21520293
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
金津 和美 同志社大学, 文学部, 准教授 (90367962)
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Keywords | スコットランド文学・文化 / ジェームズ・ホッグ / 農村・大衆文化 / イギリス・ロマン派 / 啓蒙主義 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「エトリックの羊飼い」として知られ、ロマン主義期のスコットランドを代表する農村労働者階級の詩人・作家James Hoggを取り上げ、文学作品とスコットランド農村文化の変容と保全の関係について考察することにある。この研究目的にしたがい平成22年度上半期の研究実績としては、まず、7月にドイツで開催されたThe James Hogg Societyの定期大会において、The Shepherd's Calendarを中心としたHoggの民間信仰の記述とスコットランド啓蒙主義思想との関わりについて研究発表を行うともに、海外のホッグ研究家との意見交換、資料収集をすることができた。また、論文集『スコットランド文学その流れと本質』への掲載論文として、晩年に出版された物語集Altrive Talesを中心として「エトリックの羊飼い」としてのホッグ像の変化とイギリス・ロマン主義文学・文化との関わりについて研究論文をまとめた。下半期においてはThe James Hogg Societyの機関誌に投稿した日本におけるHogg受容史についての論文を執筆する傍ら、次年度に予定している実地調査のための準備、資料収集を行った。収集された主な資料としては、Hoggが晩年に携わった文化事業として重要なSt.Ronan's Border Clubについての資料や関連論文、また、19世紀初頭のEdinburgh出版文化史に関わる資料である。これらの資料の分析作業を進めるとともに、国境地帯における中世の史実を、民間伝承をもとに歴史小説化したHoggの大作The Three Perils of Manの読解作業を行った。以上の資料分析を通じて、次年度に予定しているHogg自身の生涯及びこれらの作品の舞台となった土地での実地調査の準備と目的の明確化がなされた。
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