2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520294
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
田口 哲也 同志社大学, 文化情報学部, 教授 (00145103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CROSS R.J. 同志社大学, 言語文化教育研究センター, 教授 (70278464)
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Keywords | インド / 英国映画 / 大英帝国 / ポスト・コロニアリズム / アイデンティティ |
Research Abstract |
インドの独立はインド国民の政治的な願望からだけではなく、宗主国であったイギリスがその植民地経営の高コスト性から脱却する意思を持っていたために実現した。本年度はこの仮説を実証すべく入手可能な経済データを用いて独立以前と独立後の両者の相互経済依存が縮小するのではなく、むしろ拡大してきたことを明らかにした。そしてこのような相互依存構造がどのように両者の文学的、映像的表現に反映されているかをポスト・コロニアリズムの観点から分析した。 まず、インド映画の思想的な出発点が初代首相ネルーの理想主義にあったことをシアム・ベネガル監督の作品分析を中心に明らかにした。ネルーの理想主義は現代インドが直面している最も深刻な問題の根であること、そして、不可触選民と女性の権利拡張というインドの政治的な課題が旧宗主国イギリスの階級問題や女性の権利拡張と鏡面に映る像のように対応している点に特に注目した。 続いて、この植民地と宗主国の政治的な課題が対応しながら拡大していく現象はポスト・コロニアリズムの理論的展開において特殊なのか一般的なのかを主にマサオ・ミヨシのポスト・コロニアル理論を中心に用いて検討した。最後に、研究分担者のクロスはニューデリーで開催された第7回IAWRT女性映画祭に参加し、そこで得た知見をもとに現代インド映画をアジア的な文脈の中に位置づける試みを行い、研究代表者の田口は東南アジアにおけるインド人社会とヒンズー・コミュニティの在り方とその映像的表現の関係についての調査と考察を行った。
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Research Products
(3 results)