2011 Fiscal Year Annual Research Report
『キリストの生涯の黙想』が15世紀の大衆思想に与えた影響について
Project/Area Number |
21520298
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
田口 まゆみ 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (30216832)
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Keywords | 英文学 / 思想史 / 文献学 / 認知理論 / 中世 |
Research Abstract |
1.『キリストの生涯の黙想』という後期中世の信仰形態に関する脳科学・認知論を応用した論考および『キリストの生涯の黙想』の中英語訳(Pepys版)に関する固有の特性についての論考 22年度に国際学会で発表した2本の論文をそれぞれの学会のプロシーディングに投稿し掲載を許可されていたので、両論文について、エディターとの間で原稿の再校・再再校のやりとりがあった。脳科学と認知論を援用した論考は、2012年中に発刊が決定している。『キリストの生涯の黙想』についての発表原稿は、再校がエディターで半年以上止まっているが、2012年~2013年前半に発行の見込みが高い。 2.Pepys版『キリストの生涯の黙想』の編集・刊行準備 Cambridge大学Magdalene College,Pepys図書館2125写本所収の注英語訳『キリストの生涯の黙想』の校訂本については、共編者に京都大学文学部家入葉子氏を迎え、テキスト校訂について会合を重ねてきた。テキスト校訂の方針について会議を重ねる一方、それぞれが分担領域の解説執筆を進めているが、わたくしは、Pepys 2125写本の全容について、特に受容に焦点をあてた研究を進めている。この写本の受容についての論文を国際学会で発表した。この学会は、ヨーク写本学会と初期刊本学会の合同で、イギリス、ヨーク市で開催され、両分野における世界中の専門家が多数参加しており、後期中世宗教写本文献の第一人者であるIan Doyle博士を含む多数の中心的研究者に研究発表を聞いていただくことができ、効果的な発信ができた。発表に対する反応も大変良好であったので、校訂本発刊に向けて、良い一歩を進めることができたと言える。
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