2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520314
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野崎 歓 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 准教授 (60218310)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中地 義和 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50188942)
塚本 昌則 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90242081)
マリアンヌ シモン=及川 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 准教授 (70447457)
|
Keywords | フランス近現代文学 / シュルレアリスム / ヌーヴォーロマン / 文芸映画 / ヌーヴェルヴァーグ |
Research Abstract |
フランス文学と映画の相関関係を考える上で鍵を握る人物、ロベール・ブレッソンに焦点を当て、その作品世界の成り立ちを探求した。ブレッソンの重要作『バルタザールどこへ行く』(1966年)(に主演した女優であると同時に、現在は作家として活躍するアンヌ・ヴィアゼムスキー氏を日仏学院との協力のもと招聘。当時の話を聞き、多くの貴重な証言、示唆を得た。撮影の経験に取材した同氏の小説Jeune fille(2007年)をめぐって、フランス人研究者ジャン=クロード・ボネ、作家堀江敏幸の二氏を加えてシンポジウムを開催。その内容は文芸誌「文學界」2011年5月号に掲載された。 また、戦後フランス映画において文学と映画が相互に刺激を与えた最大の例であるヌーヴェルヴァーグについても、フランスやアメリカの研究者らと活発な意見交換を行った。とりわけ、その理論的支柱というべき存在だった批評家アンドレ・バザンの業績に関しては、イェール大学のダドリュー・アンドリュー教授と緊密に意見を交換した上で、同氏編纂になる国際論文集Opening Bazinに日本におけるバザン理論受容をめぐる研究成果を寄稿した。 他方、19世紀から現在に及ぶ近現代文学の作家研究も継続し、ネルヴァルの作品における視覚的要素の重要性や、ル・クレジオにおける映画体験の意義などに照明を当てた。映画に隣接するジャンルとしての写真とフランス文学の関係をめぐって、国内の研究者や写真家16名を招いてシンポジウムを開催し好評を得た。その内容は一巻にまとめて刊行する予定である。もう一つの隣接領域、絵画と文学に関しても日仏の研究者7名によるシンポジウムを開催した。 また昨年に引き続き、ル・クレジオの映画論集Ballacinerの翻訳紹介を継続するとともに、アンドレ・バザンの批評集Qu'est-ce que le cinema?翻訳の作業も続行。いずれもほぼ完成に近づきつつある。
|
Research Products
(18 results)