2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520314
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野崎 歓 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 准教授 (60218310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中地 義和 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50188942)
塚本 昌則 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90242081)
マリアンヌ シモン (マリアンヌ 及川) 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 准教授 (70447457)
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Keywords | フランス近現代文学 / シュルレアリスム / ヌーヴォーロマン / 文芸映画 / ヌーヴェルヴァーグ |
Research Abstract |
フランス文学と映画の相互関係を、そのダイナミックな双方向性に注目して総合的にとらえようとする本研究にとって、さまざまな分野の専門家たちの協力を仰いでの共同研究、およびシンポジウムの実現は大きな目標の一つだった。東日本大地震により、海外の研究者を招聘し交流、意見交換を行う計画を断念せざるを得ない事態となったのはまことに残念であった。しかしその分、国内の文学・映画研究者との交流は当初考えていた以上に緊密に重ね、フランス文学と映画のみではなく、より広く「文学と映画」をめぐり、とりわけ近代小説と映画が相互に及ぼしあった刺激の大きさを多様な視点から捉えることができた。『文学と映画のあいだ』と題する共同論集に成果をまとめ、平成24年度に刊行の予定である。本研究に参加したメンバーに加え、アメリカ、イギリス、ドイツ、中国、ロシアなど各国の文学・文化の専門家たちがさまざまな事例にもとづきつつ、文学と映画がいわば両輪をなして物語芸術の新たな地平を切り開いてきた様相を明らかにする、画期的な意味をもつ論集となると信じる。また研究代表者および研究分担者は各自、担当分野に関する研究を深め、具体的な成果を上げることができた。アンドレ・バザンの『映画とは何か』翻訳の完成(平成24年刊行予定)、ル・クレジオの映画論集翻訳の完成(平成24年初夏刊行予定)、映画的技法の小説における重要な一例であるポリス・ヴィアンの『うたかたの日々』翻訳の出版(平成23年)、アメリカで出版されるフランソワ・トリュフォー論集への寄稿(平成24年刊行予定)などはその一部である。フランスの作家たちへの取材調査に関しても、平成24年3月にフランスに出張し、ルーヴル美術館で映画作品を含むビジュアル・アート作品の展示を開催中のジャン=フィリップ・トゥーサンと会見、現代作家にとって映像表現がもつ創造的意義をくわしく聞くことができた。本研究で得た事柄をもとに今後もより思考を深め、新たな視点を構築していきたいと考えている。
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