2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520316
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
古澤 ゆう子 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 教授 (00173534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 秀樹 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 教授 (80012532)
藤野 寛 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 教授 (50295440)
久保 哲司 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (90170026)
三瓶 裕文 一橋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40127402)
清水 朗 一橋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30235642)
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Keywords | ヨーロッパ / 独語圏文化 / 近代思想 / 伝統継承 / 誤解・曲解 / 西洋古典 / 他文化理解 / 言語史 |
Research Abstract |
22年度の研究実施計画に基づき、引き続き、ヨーロッパ文学・思想継承における歪曲の解明をおこなった。具体的には、「モデルネ」思考の影響を色濃く反映する、古代ギリシア悲劇人物像の近代的転換を、ホフマンスタールの戯曲において分析(古澤ゆう子)、19,20世紀のオーストリア音楽作品(特にR・シュトラウスの歌劇)における伝統継承と曲解考察(田邊秀樹)、近現代倫理思想における「自由」概念の<関係の暴力性>からみる継承分析(藤野寛)、「メランコリア」に見られる変容系譜と歪曲の歴史の超近代的みなおし(武村知子)、20世紀独語圏思想におけるヴァルター・ベンヤミン「アウラ」論の位置(久保哲司)近東地域シリアとヨーロッパ文化の関係(連携研究者 戸田聡)といった観点からおこなった。また、多文化社会の言語干渉に関して言語学的観点から、16,17世紀の西ヨーロッパにおける言語転換と国家言語の成立(清水朗)、ドイツ語の体験話法の特性と機能(三瓶裕文)というテーマがとりあげられた。さらに、多文化理解に関して、日独の文学作品、特に戯曲の比較(尾方一郎)と現代日本の言語教育に対する批判的考察(ラルフ・デーゲン)があげられる。加えて、古代と近代をつなぐ中世の評価再考のため、中世独語叙事詩作品に加えて、中世後期のミンネ弁論の著述家ウルリヒ・フォン・リヒテンシュタインの作品翻訳と資料収集をおこない、その際、一橋大学博士後期課程在籍者の協力補助を得た。 平成22年10月には、在独の日本人ローマ史研究者大澤武男氏を招き、ドイツにおける伝統継承と他文化理解に関して多文化社会の外国人移住者問題の観点から分析する講演会をおこなった。参加者のコメントと質問にもとつく質疑応答と議論は充実したものとなった。
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