2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520316
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
古澤 ゆう子 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 教授 (00173534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 秀樹 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 教授 (80012532)
藤野 寛 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 教授 (50295440)
久保 哲司 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (90170026)
三瓶 裕文 一橋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40127402)
清水 朗 一橋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30235642)
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Keywords | ヨーロッパ / 文学・文化 / 近代思想 / 伝統継承 / 曲解・歪曲 / 独語圏 / 古代ギリシア / 言語史 |
Research Abstract |
本研究は西洋の文化・社会における古代ギリシア・ローマ以来の古典伝統継承における曲解・歪曲的受容の過程と原因を分析考察することで、西洋文化の自己理解の諸相を浮き彫りにすることを目的とするが、平成23年度は、古代ギリシア文化自体におけるヘレニズム時代の伝統変容を牧歌に即して考察(古澤)、独語圏哲学思想における古代悲劇概念の受容と変容過程分析(後述シンポジウムと講演会)、20世紀思想界における古典継承のさらなる展開をアドルノ・ホルクハイマーの思想に即して検討(藤野)、ラテン系言語圏と中世独語圏の継承関係考察(清水)をおこない、研究実績を著書と論文で発表した。また、万葉集と古代ギリシア詩歌の比較(古澤)、日独体験話法の文献研究(三瓶)において、日本の言語文化との関連をさぐることを試み、前者は国際シンポジウムで口頭発表、後者は研究論文にまとめられた。美学芸術関係について、モーツアルトとリヒアルト・シュトラウスの音楽的伝統継承、さらには社会批判をこととするカバレットの意図的歪曲に関連する緒論(田辺)と政治の耽美主義化についての考察(久保)があげられる。 平成23年8月1日には、「実存の悲劇的根拠」と題したシンポジウムを開催し、参加した学内外の西洋思想研究者を交えた討議において、ヘーゲル、シェリング、ヨルク伯等のドイツ観念論のギリシア悲劇解釈とカタルシス解釈、さらに時代をくだってハイデガーとフランス思想界のレヴィナス、ブランショの実存の悲劇的根拠に関する活発な討論をおこなった。同年11月2日には、講演会を開催し、講演「『力への意志』-エリーザベト・ニーチェの場合」と質疑応答および討議において、ギリシア古典の曲解的受容者ニーチェがさらに曲解的受容と歪曲される興味深い事例を考察した。
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