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2009 Fiscal Year Annual Research Report

保守革命の教養理念――「探求者」の精神史的系譜を求めて

Research Project

Project/Area Number 21520324
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

大川 勇  Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (10194086)

Keywords保守革命 / 教養 / 探求者 / 大衆 / ヴァイマル共和国
Research Abstract

本研究は、保守革命思想の根底に潜む教養理念を析出し、これまでナチズムやフェルキッシュ運動との関連でしか考察されてこなかった保守革命の思想をフンボルトに淵源するドイツ教養理念の精神史の中で捉え直すことを目的とする。本年度は、主としてシュペングラーとエルンスト・ユンガーの教養理念について考察した。『西洋の没落』でシュペングラーは、春・夏・秋・冬という季節の推移のアナロジーで世界史の諸文明の発展と没落を不可避の運命として説いたが、その歴史認識を支えていたのは、ヴァイマル共和国において顕在化する大衆社会への批判的眼差しであった。大衆社会における教養市民層の無力をニーチェの「末人」概念によって批判したシュペングラーは、「知能と貨幣」に基づく政治の現状を「文明」期の頽落現象と見なしつつ、不可避の没落を威厳をもって遂行するためのカエサル主義の到来を覚醒存在としての「ファウスト的人間」に求めたのである。ユンガーもまた、教養市民層の築いた社会的秩序の打破を求める。ヴァイマル期の大衆社会を唾棄するユンガーは、安楽を食る大衆=市民にニーチェ的な「高貴な人間」である「冒険者」=「労働者」を対峙させるが、そのモデルとなったのは第一次大戦に赴いた「戦士」たちであった。鉄兜の下にのぞく戦士たちの真剣な顔は、「秘められたドイツ」とユンガーの呼ぶ根源的価値を体現しているが、それはけっして猛々しい情熱だけを意味しているのではない。『忘れえぬ人々』に収められた追悼文「カスパル・ルネ・グレゴリ」を読めば、ユンガーの理想とした「戦士」が、安楽さに汚染される前のフマニテートをもった人間であることがわかる。

  • Research Products

    (2 results)

All 2010 2009

All Journal Article (1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 『西洋の没落』を読む2010

    • Author(s)
      大川勇
    • Journal Title

      フアル不 103

      Pages: 3-5

  • [Book] 『群衆と権力』の射程―エリアス・カネッティ再読2009

    • Author(s)
      宍戸節太郎、須藤温子、黒田晴之、古矢晋一、北島玲子、大川勇
    • Total Pages
      92
    • Publisher
      日本独文学会研究叢書

URL: 

Published: 2011-06-16   Modified: 2016-04-21  

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