2010 Fiscal Year Annual Research Report
ケベックを中心とする仏語圏文学のトランスミグランスー移民作家受容の比較研究
Project/Area Number |
21520357
|
Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
真田 桂子 阪南大学, 流通学部, 教授 (60278752)
|
Keywords | ケベック / 仏語圏 / 移民作家 / トランスミグランス / インターカルチュラリズム / フランス語憲章 / 統合政策 / 多文化共生 |
Research Abstract |
本年度は、当該研究課題の遂行にあたり、移民作家受容の重要な背景となる各々の社会での共存の理論や統合政策について検証するため、ケベックとフランスを中心に資料の収集と分析を行った。とりわけ、近年、移民の受け入れと統合においてその先進性と独自性が注目を浴びているケベックの状況を明らかにするため、フランス語憲章施行30年後、「雑種的」仏語化政策が定着しトランスミグランスの土壌となる若い世代が育っている状況について分析し、SJDF主催の国際会議(研究発表・学会発表欄1参照)で発表した。また、多文化主義の泰斗であるチャールズ・テーラーらが審議委員長を務め、近年ケベックを挙げて取り組んできたLes Accommodements raisonnables「文化的寛容性」をめぐる議論は、いわばケベックでの移民との共生のための指標作りであったが、その詳しい内容について、ケベックの「インターカルチュラリズム」について造詣の深い飯笹佐代子氏らをお迎えして研究会を開催し、自らもパネラーとして「岐路に立つケベックと新しい統合の模索」というテーマで発表し、文化的寛容性めぐる議論の反響と受容の比較検証を行った(研究発表・学会発表欄2参照)。一方、ケベックのハイチ系移民作家の一人であるマリー・クレール・アニャン氏が来日された際、勤務校において公開講演会を企画し、通訳・コーディネーターとして講演の内容について解説を行い、移民および移民作家のあり方について、日本での周知と理解の促進に努めた。 その他の研究実績として、2008年のケベックシティでの国際学会での発表を元にして執筆されたケベックのアジア系移民作家についての研究論文が、育児休暇中に海外の雑誌に掲載された(研究発表・雑誌論文欄参照)。
|