2009 Fiscal Year Annual Research Report
近・現代の他者表象におけるエクゾティシズムの諸相に関する比較文学的研究
Project/Area Number |
21520362
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
平石 典子 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (20293764)
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Keywords | 文学一般 / 比較文学 / 他者表象 / エクゾティシズム |
Research Abstract |
研究課題項目(1)「非西洋地域の近代化とエクゾティシズム」について 日本の近代詩歌、なかでも北原白秋の作品の分析を行った。『邪宗門』におけるエクゾティシズムの源泉の研究からは、彼(とパンの会の仲間)が芸術雑誌Panやボードレールの作品から影響を受けているのではないかという仮説が導き出された。また、1920年代の白秋の詩と音楽との関係を、三木露風との比較対照から考察した。 研究課題項目(2)「エキゾティックな他者」とジェンダー・セクシュアリティーについて 平成21年度は、「エキゾティックな他者」が表象される過程を、現代日本の文学テクストの翻訳の問題から考察した。具体的には、村上春樹と江國香織の作品1990年代前半の作品を取り上げて、その翻訳の過程で、文化的なコンテクストがどのように読まれていくのか、という問題を検証した。 なお、21年度はその成果を海外の学会で発表する機会が複数あった。7月にオーストラリア、シドニーのニュー・サウス・ウェールズ大学で開かれた豪州日本学会における研究発表、"Delving into Homogenised Urban Lives : Cultural Context in Contemporary Japanese Literature"と、10月に中国、天津の天津師範大学で開催された国際シンポジウム「東アジアの詩学と文化の互読」での研究発表「日本近代詩と音楽-1920年前後の原白秋と三木露風-」がそれにあたる。 また、"Degenerate Flaneuse: Contradictory Images of Urban New Women in Modernizing Tokyo,"「浪漫装置的詩歌-近代日本的接吻表象(姚紅訳)」の2本の論文が、Identities in Process : Studies in Comparative Literature、『東亜詩学与文化互読-川本皓嗣古稀紀念論文集』という、いずれも海外で出版された学術書に収録された。
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