2011 Fiscal Year Annual Research Report
近・現代の他者表象におけるエクゾティシズムの諸相に関する比較文学的研究
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21520362
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
平石 典子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (20293764)
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Keywords | 文学一般 / 比較文学 / 他者表象 / エクゾティシズム |
Research Abstract |
研究課題項目(1)「非西洋地域の近代化とエクゾティシズム」について 1)日本近代詩歌におけるエクゾティシズム:北原白秋を中心に この項については、白秋の小唄を中心とする1920年代の作品と音楽との関係を、三木露風との対比に加え、「カルメン」の翻訳の問題などから考察した。その成果は、「日本近代詩興音楽-1920年前後的北原白秋興三木露風(勾艶軍翻訳)として、中国の上海古籍出版社から出版された。 研究課題項目(2)「「エキゾティックな他者」とジェンダー・セクシュアリティー」 2)エスニック・マイノリティとジェンダー この項については、「宿命の女」のエスニシティに注目し、文学にあらわれる「宿命の女」がエスニック・マイノリティとして表象されていること、日本における「宿命の女」表象の特異性について解明した。その成果は、6月の比較文学についての国際シンポジウムでの発表"Japanese Literature and the Fin-de-Siecle Imagination : Women Writing at the Beginning of the 20^<th> Century"や11月の日本比較文学会中部大会シンポジウムでの発表「エスニック・マイノリティとジェンダー-20世紀初頭の「宿命の女」表象をめぐって-」などである。 3)現代への展開 この項については、昨年度から取り組んできた「語り」の問題について、台湾やエストニアで成果を発表する一方、少女マンガへの展開を考察した論文「ヨーロッパの少女マンガにおける「日本」-Yonen BuzzとPink Diaryを例として」を共著として出版した。 また、すべての研究課題項目を包括する研究成果として、新曜社から単著『煩悶青年と女学生の文学誌-「西洋」を読み替えて』を刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成果について、国内外で広く発表するとともに、単著を含む著書を刊行できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度、平成25年度についても、引き続き研究を進め、海外での発信にも力を入れていきたい。成果発表及び出版に関しても、これまでのように力を入れていきたいと考えている。今年度は、著書の資料収集及び海外での学会における学術発表のための旅費がかさんでしまったが、来年度以降はもう少しバランスのよい経費執行を考えたい。
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Research Products
(10 results)