2012 Fiscal Year Annual Research Report
近・現代の他者表象におけるエクゾティシズムの諸相に関する比較文学的研究
Project/Area Number |
21520362
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
平石 典子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (20293764)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 比較文学 / 他者表象 / エクゾティシズム / ジェンダー / セクシュアリティー |
Research Abstract |
研究課題項目①「非西洋地域の近代化とエクゾティシズム」について 1)日本近代詩歌におけるエクゾティシズム:北原白秋を中心に この項については、金子光晴の詩歌などについて考察した論文“Fallen Landmark and Imagination: the Ryounkaku in Modern Japanese Literature”を執筆した。当該論文は平成25年に台湾の学術誌に掲載される予定である。また、北原白秋については、まとまった研究成果を出版すべく、執筆中である。なお、本年度は、他者表象におけるエクゾティシズムと、文学の翻訳の問題についても考察した。2012年11月にウクライナで開催された学術フォーラムでの発表および論文「世界文学としての日本文学―翻訳をめぐって―」は、近代化との関わりにおけるその成果である。 研究課題項目②「「エキゾティックな他者」とジェンダー・セクシュアリティー」について 2)現代への展開 レイ・ブラッドベリのSF・ファンタジー作品を萩尾望都が1970年代にマンガ化した例を取り上げ、萩尾作品におけるエクゾティシズムやジェンダー・セクシュアリティーの問題を考察した。その成果が、比較文学についての国際シンポジウムにおける発表“Poetic Imagination in Shojo Manga: Ray Bradbury through Moto Hagio's Eyes” である。また、11月に開催された中国の大学との日本研究国際フォーラムにおいては、「現代文学における人物設定と文化的文脈―呼称とその翻訳をめぐって―」というテーマでの研究発表を行い、日本の現代文学における呼称が、エクゾティシズムやジェンダーとの関係でどのような働きをしているのか、ということを考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内外での成果発表、ということに重点をおいた平成23年度から、研究成果の執筆、ということにより力を入れたのが平成24年度であった。その成果には、まだ出版に至らないものもあるが、国際学術会議でも研究発表が興味深い議論に発展し、平成25年度の研究につながっていっているため、研究全体としてはおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終年度となる平成25年度には、研究成果を改めてまとめるような作業をしていきたいと考えている。 これまでの研究の集大成としての成果発表に重点を置く予定である。
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