2010 Fiscal Year Annual Research Report
中国バレエ史研究:革命バレエの成立と終焉およびその継承まで
Project/Area Number |
21520371
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
星野 幸代 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 准教授 (00303587)
|
Keywords | 中国文学 / 舞踊史 / バレエ / 身体 / メディア |
Research Abstract |
22年度は以下の2点を明らかにした。 1、 上海バレエ・リュスと小牧正英の位置づけ 内容:従来、上海バレエ・リュスは白系ロシア人によるバレエ団とされ、その活動は国際都市における亡命ロシア人による文化活動と位置付けられ、そのダンサー小牧正英も偶々その活動に参加する一例外とされていた。それに対し本研究は、日本政府の御用新聞『大陸新報』の論調を追うことにより、上海バレエ・リュスと小牧正英が日本の植民地文化統治に利用されてきたことを明らかにした。 意義:昨今、上海における日本植民地文化政策として音楽面は脚光を浴び、研究が蓄積されている。本研究は、劇場を拠点とするという点で音楽と密着しているバレエについて、音楽と同様に植民地文化政策と結びついてきたことを明らかにした。 2、 抗日期の中国における舞踊地図(継続中) 内容:抗日期中国における舞踊は、当然ながら淪陥区と国統区によって別々に実証する必要がある。すなわち日本植民政権に利用されたバレエ(上海バレエ・リュス、舞踊家・崔承喜など)と、抗日運動の義援金等に貢献したバレエ(舞踊家・戴愛蓮、呉暁邦など)とが交錯している。後者については、抗日のための青少年教育活動(主として陶行知による育才学校など)とも連携していた。 意義:これまで、抗日期中国における文化研究としては、文学・演劇・絵画部門が進められてきた。本研究によって、舞踊は文学・演劇・絵画(特に戦時漫画)いずれの部門とも協力しあい、抗日宣伝活動を行ってきたことが明らかになりつつある。
|
Research Products
(5 results)