2011 Fiscal Year Annual Research Report
中国バレエ史研究:革命バレエの成立と終焉およびその継承まで
Project/Area Number |
21520371
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
星野 幸代 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 准教授 (00303587)
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Keywords | 中国文学 / 舞踊史 / バレエ / 身体 / メディア |
Research Abstract |
本年度に設定した研究目的のうち、1940年代香港・重慶におけるダンサー戴愛蓮(1916-2006、中国舞踏家協会名誉主席)の舞踊公演に関する研究については、特に新資料の発掘、新事実の発見があった。簡潔にまとめれば、戴愛蓮のダンスは、彼女がロンドンで踊っていた当初は欧州華僑の抗日活動の一環であり、続いて香港へ彼女が渡って以降、孫文夫人である宋慶齢の率いる保衛中国同盟(China Defense League)の抗日活動とリンクしたことを明らかにした。これらの成果はThe World History Association 2011での研究発表(審査あり)、その後の東方学会の論集(査読付)掲載決定という形で評価を得、発表することができた。一方、同時期に活躍した呉暁邦(モダンダンサー)については、彼が日本のモダンダンサー石井獏門下生であることから、日中比較文化の方法を採り、6月にアメリカのSociety of Dance History Scholarsでの発表(審査あり)が決定している。 次にもっとマクロな視点から本研究の意義を説明するために、一九四〇年代中国舞踊界の全貌の中で本研究の位置づけを述べたい。戦時下中国の淪陥区、国統区、解放区では、それぞれ舞踊家のスポンサーと活動目的が異なり、鑑賞者も異なる。これらの抗日舞踊、親日舞踊との影響関係の有無は、日本人舞踊家と、中国・朝鮮の舞踊家と、またそれらの受容者、スポンサーを別々に考察した上で総合的に考える必要がある。さらにそのプロパガンダ性の強い舞踊は、文化大革命の革命バレエへと受け継がれていく。本年は、戦時下の国統区と解放区で保衛中国同盟というスポンサーの下、抗日支援を目的に踊った華僑・戴愛蓮の活動を主に明らかにした。戴愛蓮研究としては、抗日運動の中で演劇、音楽、青少年教育などとも結びつき多彩な展開を見せるその舞踊について、本研究では特に抗日漫画との連動を解明した。
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Research Products
(2 results)