2010 Fiscal Year Annual Research Report
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21520372
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南田 みどり 大阪大学, 世界言語研究センター, 教授 (80116144)
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Keywords | ビルマ文学史 / 日本占領期 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究は、ビルマ国内外ともに研究蓄積の乏しい日本占領期(1942-45)におけるビルマ文学について、ビルマ文学史における位置づけから明らかにすることを目的とする。今年度は、すでに収集済みの資料を、雑誌『作家』全11巻を中心に整理するとともに、ビルマ出張によって新たな資料を入手し、聞き取り調査を行った。また、国立国会図書館、防衛庁防衛研究所などで、日本占領期ビルマで発行されたビルマ語資料の原本となる書籍等を調査収集した。 日本占領期のみならず、現代ビルマ文学作品における日本及び日本表象の調査収集を行うとともに、日本占領期に端を発する検閲制度の、現代ビルマ文学界における状況についても目配りして、最新の作品の収集ならびに作家関係者への聞き取りを行った。 その成果として、第一に、すでに検閲を受けて出版された1990年代の雑誌掲載小説が2000年代にアンソロジーとして出版されるにあたり、さらなる検閲によって削除される状況を中心として論文「短編小説の語るビルマ文学最前線」をまとめることが可能となった。第二に、雑誌『作家』掲載記事を分析して同誌の作家協会機関誌としての情宣的役割を明らかにした研究ノート「日本占領期におけるビルマ作家協会機関誌『作家』の役割について」をまとめることが可能となった。第三に、児童小説『ビルマの竪琴』について、日本占領期ビルマ文学研究の視点から考察し、講演を行うとともに、講演内容に加筆した論説をまとめることが可能となった。これらの研究を発展させて、ビルマ語版『ビルマの竪琴』における大幅な改編点についての分析のまとめに入った。
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Research Products
(4 results)