2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21520372
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南田 みどり 大阪大学, 世界言語研究センター, 教授 (80116144)
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Keywords | ビルマ文学史 / 日本占領期 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究は、ビルマ国内外でともに研究蓄積の乏しい日本占領期(1942-45)におけるビルマ文学について、ビルマ文学史における位置づけから明らかにすることを目的としていた。ビルマ国内においては、個別の作品を扱った業績や、一部のジャンルを扱った業績が存在するが、この時期を全体的に概観する業績は、本研究が唯一のものとなっている。民主化の兆しが見えるとはいえ、さまざまな困難に直面するビルマ文学研究の空白を、日本から調査・研究に赴き、当時の出版物ならびに関連出版物を収集し、関係者からの聞き取りによって埋め、両国の真の友好に資することを目指した。 その成果として、第一に日本占領期の日本側の「名作」とされる『ビルマの竪琴』がビルマでどのように受容されたかを、英語版からのビルマ語訳、日本語版からのビルマ語訳の二種類のビルマ語版における改変点を論文で示し、日本占領期の遺産である検閲が現在も有効に機能していることを明らかにした。 第二に、「作家たちの、「日本時代」」において、日本占領期における家協会機関誌『作家』掲載記事への執筆や作家協会活動への参画、その他の書籍の執筆、あるいは文化団体、政府機関への参画状況を示す作家人名リストを作成し、若干の分析を加えた。 第三に、日本占領期に作家として出発した女性作家ルードゥ・ドー・アマーの今日的意義を、軍事政権下の検閲とのかかわりの中で明らかにする論文を作成した。 その他日本の新聞はじめジャーナリズムにおいても、日本占領期に出版された文学、あるいは現代に出版される日本占領期を題材として文学について言及した。
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Research Products
(3 results)